【棋聖戦第3局】藤井七冠が3連勝で5連覇 「永世称号」に恩師は何を語ったか

AI要約

2020年7月、21歳11カ月で永世棋聖の資格を獲得した藤井聡太七冠について述べられている。

永世棋聖の資格取得者は過去に6人しかおらず、藤井はそのうちの1人となった。

山崎隆之八段も15年ぶりにタイトル戦に登場したが、力戦の将棋で藤井に完敗した。

【棋聖戦第3局】藤井七冠が3連勝で5連覇 「永世称号」に恩師は何を語ったか

 7月1日、将棋の棋聖戦五番勝負(主催・産経新聞社)の第3局が「亀岳林・万松寺」(愛知県名古屋市)で行われ、藤井聡太七冠(21)が挑戦者の山崎隆之八段(43)を100手で下した。これにより藤井は第1局からの3連勝で棋聖戦5連覇を達成し、永世称号の資格を獲得した。【粟野仁雄/ジャーナリスト】

 2020年7月、藤井が17歳11カ月で初めてタイトルを取ったのがこの棋聖位だ。「通算5期以上」という永世棋聖の資格を、藤井は21歳11カ月にして満たしてしまった(原則として永世称号は引退後に名乗る)。

 長い将棋の歴史で永世称号を獲得した棋士は10人しかいない。そのうち永世棋聖は大山康晴十五世名人(1923~1992)、中原誠十六世名人(76)、米長邦雄永世棋聖(1943~2012)、資格取得者は羽生善治九段(53)、佐藤康光九段(54)で、藤井は6人目となる。

 これまで永世称号の最年少記録は、1971年8月に中原十六世名人が同じ棋聖戦で達成した「23歳11カ月」だった。藤井は53年ぶりの記録更新だが、棋聖戦は創設された62年から94年度まで年に2期が行われていたので、年に1期しかチャンスがない藤井のほうが記録達成は難しかったともいえる。

 藤井は同学年の伊藤匠七段(21)に叡王のタイトルを奪われた6月20日のショックを引きずっていなかった。記者会見で「永世棋聖」と揮毫(きごう)した色紙を披露したあと、「まだ実感はわかない」「結果を出せたことは素直によかったと思う」「これまで一時代を築いてきた方々が取ってきたというイメージがあるので嬉しく思います」「今後の活躍も問われると思うので(永世棋聖の称号に)見合うように頑張りたい」などと話した。

 最年少記録については「あまり意識していることではなかったが、永世称号の最初のチャンスだったので、つかむことができてよかった」。大盤解説に登場した際は、永世称号について「もう5年もたったのかという気持ちが一番強い」と話した。

 記者から横綱に喩えられ「どんな横綱を目指すか?」と訊かれると、「組んでも組まなくても強い戦いが一番いいかな。どんな形でも対応していける力をつけていくのが大きな目標かなと思っています」と答えた。

 一方、15年ぶりにタイトル戦に登場しながら一矢報いることができなかった山崎は「1、2局と慎重になりすぎて、やりたい手を指せず、差が開いて負けました。3局目は自分なりのベストを尽くそうと思っていました。自分なりに集中して踏ん張って指しましたが、力戦の将棋で読み負けていて完敗でした」と語った。