能登の「ミニ霞が関」稼働1週間…熊本地震の際に幹部9人で結成「K9」の経験生かす

AI要約

政府の専門組織「能登創造的復興タスクフォース(TF)」が始動し、被災地の復興支援を加速化する取り組みが進められている。

災害対策本部の経験をもとに、TFは国、県、市町の関係者が一堂に会し、迅速な復興活動を行うために設置されている。

能登半島地震における復興課題に対応するため、TFは幹部や職員約150人が被災地に常駐し、現場の要望を聞きながら取り組んでいる。

 能登半島地震の復興支援を担う政府の専門組織「能登創造的復興タスクフォース(TF)」が本格稼働し、8日で発足から1週間を迎える。次官級をトップとした約150人が「ミニ霞が関」として被災地に常駐し、家屋の公費解体などの課題に迅速に対応することで復興の加速化を図る方針だ。

 松村防災相は5日の記者会見で、TF設置の意義について「国、県、市町の関係者が一堂に会し、現場レベルで各事業の進捗(しんちょく)状況を共有し、課題解決に取り組むことが狙いだ」と強調した。

 TFは、2016年の熊本地震の際に各府省の局長・審議官級の幹部職員9人が現地入りして対応した「K9(ケー・ナイン)」の経験を踏まえたものだ。熊本県庁の災害対策本部で幹部9人が連日、県幹部と熊本の頭文字を冠した「K9」と呼ばれた幹部会合を行ったことで迅速な意思決定や省庁横断の支援につながり、内閣府の報告書でも「今後の災害対応のモデルとなり得る」と評価された。

 TF設置は、経済産業省の官房長としてK9で指揮を執った嶋田隆首相秘書官らの発案とされ、首相官邸主導で復興に取り組む姿勢をアピールする狙いもある。国土交通省や環境省など7府省からの派遣や出先機関の職員計約150人と、石川県や能登6市町などで構成され、トップの座長には長橋和久内閣官房復旧・復興支援総括官が就任した。職員らは輪島市などを拠点にホテルなどに宿泊しながら被災地域全域で業務にあたっている。

 能登半島地震では、政府の非常災害現地対策本部が最大300人体制で対応してきたが、道路網の寸断などもあり、復旧・復興は遅れている。家屋の公費解体のほか、水道の復旧や液状化対策などに加え、観光支援など復興後を見据えた取り組みも課題となる。TF座長の長橋氏は取材に対し、「現場の市町の要望を聞きながら復興に向けた課題を解決していく」と語った。