自民総裁選見据え「派閥」軸に結集の動き、「影響力確保へ必要」根強く…「国民の支持さらに失う」危惧も

AI要約

自民党内で、党総裁選を見据えて「派閥」を軸に結集を模索する動きが出ている。

首相を目指す岸田派や二階派、安倍派などそれぞれが結束を図り、総裁選に向けて活動している。

派閥の解散や再編により、党内の勢力図が変化しており、影響力を維持するために動きが活発化している。

 自民党内で、秋の党総裁選を見据え、「派閥」を軸に結集を模索する動きが出ている。影響力を確保するには一定の固まりが必要との考えが根強いためだ。岸田首相(党総裁)と「ポスト岸田」候補の一部もそれぞれ旧来の派閥のつながりに頼る姿勢を取っているが、派閥の解散表明が形骸化したと見なされれば、世論の不信を招く可能性もある。

 首相は3日、首相官邸で岸田派(解散決定時46人)の重鎮だった宮沢洋一・党税調会長と約30分間にわたり面会した。宮沢氏は会談後、記者団に「今の時期だから、(総裁選の話を)しなかったと言ったら信じないよな」と語った。

 総裁再選を目指す首相は、解散を決定した岸田派の元幹部らとの面会を重ねている。元所属議員も6月20日には衆院議員宿舎で懇親会を開き、約20人が参加。同派座長を務めた林官房長官が「派閥は解散したが志は近い。このつながりを大事にしよう」と呼びかけた。

 岸田派と同様に解散を表明した二階派(同38人)も結束の維持に腐心している。今月下旬には、派を率いた二階俊博・元幹事長を囲む会を予定する。同派の閣僚経験者は「総裁選では、なるべく一致して行動し、主流派入りを目指すべきだ」と意気込む。

 最大派閥だった安倍派(同96人)は、小グループが乱立し、それぞれが存在感を発揮できる道を探っている。中枢だった「5人衆」ら元幹部が「政治とカネ」の問題で求心力を失い、取りまとめ役が不在なためだ。

 福田達夫・元総務会長らが中心となる中堅・若手グループは4月から会合を不定期で開き、20人規模となっている。福田氏は4月の会合で「派閥がなくなったので、ここで情報交換していこう」と訴えた。

 この会合以外にも、同派の元最高顧問の衛藤征士郎衆院議員が音頭を取るグループや高市経済安全保障相に近いグループなどがあり、参院安倍派の枠組みも残る。安倍派に所属した議員の間では「ある程度のまとまりを維持しないと総裁選で草刈り場になる」との懸念が広がっており、グループ活動は活発化する見通しだ。