プール授業前に学校で有毒な「塩素ガス」発生 教員が薬品を間違えてタンクに注入するケース相次ぐ

AI要約

プール授業が始まる季節に塩素ガスが発生し、学校が臨時休校になる事案が相次いでいる。

プール機械室で次亜塩素酸カルシウムが誤って別のタンクに入れられ、塩素ガスが発生した原因として、化学反応が起こったことが特定されている。

塩素ガスは有毒で、鼻やのどに刺激を与え、最悪の場合死に至る可能性もある為、再発防止対策が必要とされている。

プール授業前に学校で有毒な「塩素ガス」発生 教員が薬品を間違えてタンクに注入するケース相次ぐ

学校でプール授業が始まる季節。プールの準備をしている段階で、「塩素ガス」が発生し、消防などが出動する騒ぎが相次いで発生し、学校が臨時休校になるなどの影響が出ています。

 死に至ることもある有毒ガスの1つ「塩素ガス」…なぜ子どもたちが楽しく授業を行うはずの場所で発生してしまうのでしょうか。

 28日午前8時すぎ、愛知県豊橋市の豊橋市市立くすのき特別支援学校で、「『次亜塩素酸カルシウム』を『ポリ塩化パック』の入ったタンクに入れてしまった」と教頭から119番通報がありました。

 豊橋市教育委員会や消防によりますと、学校内にあるプールの機械室で、教員が、水を消毒するためのプール消毒液「次亜塩素酸カルシウム」をタンクに入れようとしたところ、誤って隣に並んでいる別のタンクに入れました。

 その後、タンク内で化学反応が起き、塩素ガスが発生したということです。

 体調不良を訴えた人は確認されておらず、周辺の住宅にも大きな影響はなかったということです。

 28日、学校は臨時休校となりましたが、7月1日からは通常に戻る予定で、プールに関しては、安全が確認できるまで、授業を中止するということです。

 さらに27日には、隣の岐阜県でも。

 各務原市教育委員会によりますと、午前7時半すぎ、各務原市立鵜沼第二小学校のプール機械室で、「次亜塩素酸ナトリウム」を誤って、違うタンクに入れてしまい、塩素ガスが発生しました。

 予定されていたプールの授業は中止となりましたが、周辺への大きな影響もなく、体調不良を訴えた人もいませんでした。

 なぜこのように「塩素ガス」が発生する事案が相次いでいるのでしょうか。

 多くのプール機械室には、プールの水を消毒するための薬品「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素酸カルシウム」を入れるタンクと、ゴミを凝集させ、ろ過の効率をあげるための薬品「ポリ塩化アルミニウム」を入れるタンクの2つが設置されているといいます。

 豊橋市によりますと、中性の「次亜塩素酸カルシウム」は、酸性の状態になると分解されて、「塩素ガス」が発生する可能性があるといいます。

 今回、酸性の「ポリ塩化アルミニウム」に誤って「次亜塩素酸カルシウム」を注入したことで分解が進行し、「塩素ガス」が発生してしまったということです。

 同じように、アルカリ性の「次亜塩素酸ナトリウム」を酸性の「ポリ塩化アルミニウム」と混ぜても、「塩素ガス」が発生するといいます。

 27日に「塩素ガス」が発生した各務原市鵜沼第二小学校では、実際に、同じような高さのタンクが2つ並んでいました。

 プールの授業が行われている期間中は、ほぼ毎日、「次亜塩素酸ナトリウム」の注入が必要で、教員らが当番制で担当していたといいます。

 「塩素ガス」は、鼻やのどに対する刺激があり、最悪の場合、許容濃度を超えれば、死に至るケースもある有毒ガスです。

 豊橋市や各務原市は「再発防止対策を徹底する」などとコメントしています。