角川歴彦前会長、拘留中に体調悪化も治療認められず 拘置所の医師から「死なないと出られない」

AI要約

出版大手KADOKAWAの元会長が東京五輪汚職事件で逮捕・起訴され、22日間の身体拘束による憲法違反として国に損害賠償を求める訴訟を起こした。

元会長は高齢や健康問題を抱えながら226日間も勾留され、拘置所内では適切な治療を受けられず医師から「死なないと出られない」と言われる状況にあった。

弁護士は元会長の状況を証言し、保釈時に車いすで拘置所を出るほど命の危機に瀕していたことを強調した。

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、贈賄容疑で22年9月に東京地検特捜部に逮捕・起訴された、出版大手KADOKAWAの角川歴彦前会長(80)が27日、裁判で無罪を主張するほど身体拘束が長引く「人質司法」は憲法違反だとして、国に2億2000万円の損害倍賞を求める国賠訴訟を起こした。

 角川前会長は、逮捕・起訴された当時、79歳という高齢で不整脈等の持病があり、2カ月後に手術も控えており、主治医からも「最悪の場合、命に至る可能性もある」と言われていたという。その中、226日間も勾留されたが、弁護団長の村山浩昭弁護士は「接見中に2度、意識を失っている」と明らかにした。

 角川前会長は連日、長時間にわたって取り調べを受ける中で15キロやせて失神、昏倒(こんとう)、動悸(どうき)、高熱、新型コロナウイルスに感染。病院での治療を希望したが許可されず、拘置所内では対症療法しか施されなかったと主張した。その上で、訴状の中で拘置所の医師から「角川さん、あなたは生きている間にはここから出られませんよ。死なないと出られないんです」と言われたと触れた。同氏は「私には皆さんに話さなければいけない義務がある」と訴えた。

 村山弁護士は今年4月27日に、角川前会長が東京拘置所から保釈された際、車いすに乗っていたことに触れ「保釈の時…車いすですよ。接見中に意識を失っても、満足に手当を受けさせてもらえず、最終的に車いすで拘置所を出るまで追い込まれた。命の危機に追い込まれたと言っても過言ではない」と訴えた。