傷心の被害者を狙う「リカバリー詐欺」 犯罪に加担させられる事例も

AI要約

ロマンス詐欺の被害が深刻化しており、被害者支援団体がその手口と対策について説明している。

詐欺グループは被害者をリスト化し、被害に遭うとさらに異なる手口でアプローチしてくることがある。

被害者には個人情報を変更するよう助言するほか、相談窓口も提供されている。

傷心の被害者を狙う「リカバリー詐欺」 犯罪に加担させられる事例も

 SNS上で外国人を装い、恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」。ある女性は1千万円近くをだまし取られた後、今度は詐欺グループによるマネーロンダリング(資金洗浄)に加担させられた結果、今年5月に有罪判決を受けた。

 被害が深刻化するなか、明るみに出た今回の事件。国際ロマンス詐欺の被害者支援に取り組む団体「CHARMS(チャームス)」(千葉県)の新川てるえ代表に、その周到な手口と私たちができる対策を聞いた。

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 詐欺グループはだました相手をリスト化していると考えられ、一度被害に遭うと他の詐欺師も近づいてくる場合があります。被害者の傷心につけ込み、「加害者の調査をしてあげる」「被害金を取り戻す」などと持ちかけ、最終的に金を要求してくる手口もあります。

 米国では、この手口を「リカバリー詐欺」と呼んでいます。

 海外では、恋愛感情を利用して、金や違法薬物を運ばせる事例も。犯罪収益を送金する人や手口は「金の運び屋」という意味で「マネーミュール」、同じく薬物を運ぶ人や手口は「ドラッグミュール」と呼ばれます。

 今回の事件は、リカバリー詐欺のように被害者に近づき、マネーミュールのように犯罪に加担させたといえます。

 一度被害に遭うと、2~3年後など忘れた頃に知らない人から連絡が来て、再び被害に遭うこともあります。

 そのため、被害者にはSNSのアカウントや電話番号、メールアドレスなど、詐欺グループ側に知られた個人情報については、すぐに変えるように助言しています。

 相談はメール(soudan@npo-charms.org)とLINE(@799sdpbp)で受け付けています。

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 警察庁が3月に公表した全国統計によると、2023年だけでロマンス詐欺の被害件数は1575件、被害金額は約177億円。今年に入っても、1~3月だけで603件、約60億円の被害が確認された。(土居恭子)