最大16m超の巨大津波予想も…日本海側の津波は“到達速度が早い” 「迅速かつ長時間の避難への備えを」【山形発】

AI要約

山形県沖で過去に観測された11cmの津波から、今後16メートルを超える津波が予測されており、専門家から警告が出されている。

過去の山形県沖地震では被害はなかったものの、次の大地震では最大震度7として約5060人の死者や1万戸の全壊する建物数が想定されており、重大な被害のおそれがある。

日本海側で発生する津波は到達速度が非常に速く、地震発生から津波到達までの時間が短いという特徴がある。沿岸部の住民たちは今後の地震に警戒が必要である。

最大16m超の巨大津波予想も…日本海側の津波は“到達速度が早い” 「迅速かつ長時間の避難への備えを」【山形発】

5年前の山形県沖地震は、高さ11cmの津波が観測された。人への被害はなかったが、県の想定によると、次に起こり得る山形県沖地震の津波は最大で16メートルを超えるとされており、専門家が警鐘を鳴らしている。

5年前の2019年6月18日、山形県沖地震では「津波注意報」が出され、鶴岡市鼠ヶ関で11cm、酒田市で5cmの津波が観測された。深夜の出来事に、沿岸部の住民たちは不安な夜を過ごした。

当時のインタビュー:

すぐ港の前。日中より夜はなにが起きるかわからないので、気持ちが落ち着かない。

最大震度「6弱」という県内の観測史上最大の地震だったが、幸い、人命に関わるような被害は出なかった。しかし、津波工学が専門の東北大学の今村文彦教授は、「山形県沖は、5年前よりも大きな地震が今後発生するおそれがあるエリアだ」と指摘している。

東北大学(津波工学)・今村文彦教授:

過去において、1964年の新潟、1983年の日本海中部、実際にM7.5以上の地震・津波が起きた。実はその間に山形県が位置していて、これは最近、地震と津波が起きていない「空白域」に相当する。「残るは山形県沖」という状況になっている。その切迫性はかなり高い。

今村教授は、県が2016年に作成した「今後起きるおそれがある最大の山形県沖地震」の津波の被害想定にも携わった研究者。それによると、県が想定する最大の被害は、「最大震度7」「県内で全壊する建物数は約1万戸」「津波による死者は5060人」という甚大な被害。

今村教授によると、5年前の山形県沖地震や能登半島地震など、日本海側で発生する津波の特徴は、その到達速度にあるという。

東北大学(津波工学)・今村文彦教授:

今回の能登半島地震と5年前の山形県沖地震は非常に類似している。強い揺れの後に津波が非常に早かったと。

5年前の山形県沖地震では、鶴岡市鼠ヶ関への津波の到達は、地震発生の5分後。

2024年1月の能登半島地震では、震源に近い石川・珠洲市に、地震のわずか1分後には最大5メートルの津波が到達したとされている。

さらに、能登半島中央部の七尾市では地震の2分後、隣県の富山市にも5分後には到達したとみられている。地震発生から到達までの時間がとにかく早いのが、日本海側の津波の特徴だ。

東北大学(津波工学)・今村文彦教授:

日本海側での地震による津波は、沿岸部近くの活断層で発生する。揺れと同時に津波がすぐ来てしまう位置的な関係が到達時間を早くする原因になる。