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「なんで死なせてくれないんだっ」自ら包丁でお腹を切ろうとした30代ひきこもり女性の過去からの再生…「私の生きてきた形跡は無駄になってない」と始めたあることとは
30代女性が虐待といじめのトラウマで10年以上ひきこもり、アルバイトを続けていたら幻覚や幻聴が現れてしまう。
自殺未遂も繰り返すようになり、厳しい母親が過ちに気づきカウンセリングを受け始めるが、関係が改善するまでには時間がかかる。
一度は家を暴れることで近所の人に警察が介入する事態にまで発展してしまう。
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厳しい母親に虐待に近い状態で育てられた30代女性。中学時代に壮絶ないじめを受けて人が怖くなり、高校も中退。大学も1週間で通えなくなり、10年以上ひきこもった。母親に命じられてアルバイトを始めたが続かず、それでも頑張っていたら、心身に異変が――。(前後編の後編)
いじめによるトラウマで10年以上もひきこもっていた白石咲良さん(仮名・30代)。無理にアルバイトを続けていたら、夜眠れなくなってしまった。
7日間連続で眠れなかったこともあるという。両親に「体さえ休めていれば動けるから」と言われ、ベッドに横になっていたら、異常なことが頻繁に起きるようになった。
「いわゆる幻覚、幻聴でした。バイト先のメニューの電光掲示板のオーダー表が、急に象形文字みたいに文字化けして見えたり、『お前は本当にダメなヤツだな、今すぐ死ねば』という声が聞こえてきたり。でっかい蜘蛛が布団の中から出てくるのが見えたり、金縛りにあうとか、恐怖体験をすごくするようになっちゃって」
母親に引きずられるようにして精神科クリニックを受診。大量の薬を処方されたが、相変わらず夜は眠れず、幻覚、幻聴も収まらない。
「苦しいことも改善されないし、家にいても休まる時間がほぼなくて。どんどん自分に価値を感じなくなって、死にたくなっちゃった。で、自殺未遂をくり返すようになったんです。
リストカットする勇気はなかったんで、トイレにこもって包丁でお腹を切ろうとしたけど、深く刺す前に、ドアの鍵をこじ開けられちゃって。薬を一気に飲んだときも、すぐ見つかって気付いたら病院のベッドの上でした」
このままでは娘が死んでしまう――。
それまで、娘にずっと厳しく接していた母親だが、娘を失いかけて、ようやく自分の過ちに気が付いたのか、ある日、カウンセリングを受けられる施設を探してきて、母親自らがカウンセリングを受け始めた。
結果的に、そのおかげで母親の態度が180度変わり、白石さんも救われたのだが、すぐに効果が出るわけではない。
関係が好転する前に、白石さんは警察沙汰を引き起こしてしまった。
「死にたいのに、なんで死なせてくれないんだって、怒っていたんですよね。そこに家を燃やして自分も死のうという過激な思考が組み合わさって、こんな世界いらないよって、世界を恨む気持ちみたいのが出てきちゃって。
親のことを直接攻撃はしなかったけど、薬を大量に飲んで家で暴れて電子レンジを壁にガシャーンって投げちゃって、近所の人に通報されたんです」