藤井七冠の師匠・杉本八段「2人は“真のライバル”になった」伊藤新叡王誕生の瞬間は「自分の事のように悔しく」

AI要約

藤井聡太八冠が叡王戦で伊藤匠七段に敗れて“七冠”となった。終盤のミスが悔い残る負けで、伊藤七段の指し手が素晴らしかったと杉本八段がコメント。

杉本八段は負けた瞬間は悔しさを感じたが、勝負には勝ち続けられないこともあり、次に期待している。

藤井七冠に連絡は取れず、先手の勝率とタイトル戦の持ち時間が影響していた可能性がある。

藤井七冠の師匠・杉本八段「2人は“真のライバル”になった」伊藤新叡王誕生の瞬間は「自分の事のように悔しく」

 将棋の藤井聡太八冠は6月20日、「叡王戦」で伊藤匠七段に敗れて“七冠”となりました。一夜明けた21日、師匠の杉本昌隆八段に話を聞きました。

Q.対局を見ての感想は

杉本八段:

「終盤でミスが出てしまって、藤井叡王としてはちょっと悔いが残る負けかなという気もしました。ただ伊藤七段の指しまわし、粘り強い指し手が本当に素晴らしかったですね」

Q.杉本八段は悔しさみたいなものは感じているか

杉本八段:

「負けた瞬間はちょっと自分のことのように悔しかったんですけども。でも勝負ってずっと勝ち続けられるわけではないので、当然そういうこともあるなと。また次勝てばいいんじゃないかという気持ちになっています」

Q.藤井七冠に連絡は取ったか

杉本八段:

「勝った後だったら電話で長話でもしようかなと思ったんですけども、負けてしまったので。近々会う予定もありますから、軽くメールだけ送ったばかりで、まだ返事は来てないと思います。『お疲れさん』と、ありふれた内容のメールを送ったんですけども。よくある話ですからね、タイトルは取ったり取られたりですから、少なくとも本人はあまり深刻になってはいけないと思います」

Q.叡王戦では藤井七冠が先手の「第3局」と「第5局」で敗れている。藤井七冠は2023年、先手の勝率が9割6分だった

杉本八段:

「今回の叡王戦は、第3局・4局・5局で後手番が勝っているんですよね。先手番の方が少し有利になりやすいというのは事実なんですけど、それを超えた戦いが2人にあったということでしょうね」

Q.藤井七冠は伊藤新叡王に対してかなり研究している

杉本八段:

「研究しているのは伊藤さんの方ですね。藤井叡王も当然、伊藤さんを意識していて、かなり対伊藤戦に絞ったような、序盤から積極的に動くという作戦を見せていました」

Q.2人の将棋のタイプは違うのか

杉本八段:

「似ているところもある。序盤有利にもってきて、そのまま逃げ切る能力というのはすごく似ている。ただ最終的な勝ち方が、藤井叡王は攻め、伊藤七段は守り、そこが違いますね。改めて粘り強いんだなというのを今回感じました」

Q.タイトル戦の中では、持ち時間が少ない4時間だったということも影響が?

杉本八段:

「持ち時間が長ければ長いほど、藤井七冠って強いんですよ。指し手の精度が高くなる。今回の叡王戦は持ち時間4時間で、チェスクロック使用で本当に持ち時間がどんどん減っていくんです、終わりの方になると。そこも一つ勝負のポイントだったかなと。伊藤さんも同じ条件ではありますけどね」

Q.第3局と第5局では藤井七冠がリードを奪っていたが、反撃に出て逆転した流れがあった

杉本八段:

「決めきれなかったというか、有利なはずだけど、なかなか伊藤さんがしぶといので、ちょっと藤井叡王も攻めあぐねて、やや守りの手を自分も選んでしまったら、そこに付け込まれてしまったという展開が多かった」