「北大阪の台所」市場建て替え宙に浮く…使用料上げ案に業者難色

AI要約

大阪府中央卸売市場(北部市場)の建て替え計画が1億3000万円かけて検討されたが、市場内の業者との折り合いがつかず頓挫した。

市場は40年以上経過し、老朽化や課題が生じており、府は建て替えが効果的と報告書をまとめた。

使用料値上げ案を提案したが業者から理解得られず、将来の再議論を目指すものの不透明な状況。

  老朽化が進む大阪府中央卸売市場(茨木市、通称・北部市場)を巡り、府が2年間で1億3000万円をかけて検討してきた建て替え計画が頓挫した。建設費用を賄うため施設の使用料を値上げする案を示したところ、市場内の卸売業者らから理解を得られず、折り合いがつかなかったためだ。3年後の議論再開を目指すが、「北大阪の台所」の先行きは見通せない。(山本貴広)

 北部市場は、大阪万博が開かれた1970年頃から急速に進んだ北大阪地域の人口増に対応するため、府が78年に開設。野菜や果物、水産物などの取扱量は約23万トン、総額886億円(2021年度)で、全国に65か所ある中央卸売市場でいずれも10番目の規模だ。昨年7月時点で卸売業者4社、仲卸業者90社が入っている。府内ではほかに大阪市の中央卸売市場が3か所ある。

 北部市場は開設から40年以上が経過し、建物や冷蔵設備などが老朽化したほか、通路が狭いなどの課題もあり、府は2020年度から再整備のあり方を検討。府の有識者委員会は21年2月、建て替えが効果的とする報告書を取りまとめた。

 府は22年6月から、市場内の業者と建て替えに向けた検討会議を開催。将来的に取扱量が減少する予測もあり、昨年10月、施設規模を現行の最大3割減の約8万4000平方メートルに縮小し、余分の敷地を民間に貸す枠組みを示した。

 600億円前後の整備費の大半は、卸売業者らが50年かけて使用料に上乗せする形で支払う計画だ。府の試算では、建て替えに伴い使用料は1・38~1・52倍に増える。今の使用料の平均月額は、店舗と事務所を利用するケースで、卸売業者は約510万円、規模の小さい仲卸業者は約28万円だという。

 今後、資材価格や人件費の高騰で整備費が膨らむことも想定され、業者からは「いったん立ち止まるべきだ」などと懸念の声が相次ぎ、府に公費投入を求める意見も出た。しかし府は、市場のような公営事業は原則、独立採算としており、公費負担はできないと主張。計画上、民間に敷地を貸す賃料も整備費の一部に充てることで、使用料の負担減を図っているとも説明していた。