「景色にほれた」里山、空き家改修した10席のコーヒー店 中米5カ国16農園から厳選の豆で提供する憩いの時間

AI要約

新しく開業したコーヒー店「yamawarau coffee roaster」が伊那市富県の山あいで住民の憩いや交流の場となっている。

2人のオーナーは東京から移住し、自然の中で店舗を構える夢をかなえたカップルである。

コーヒー豆の厳選や焙煎にこだわり、地元の人々からの支持を受けつつ、地域貢献に努めている。

「景色にほれた」里山、空き家改修した10席のコーヒー店 中米5カ国16農園から厳選の豆で提供する憩いの時間

 長野県伊那市富県の山あいに新しく開業したコーヒー店「yamawarau coffee roaster(ヤマワラウ・コーヒー・ロースター)」が住民の憩いや交流の場となっている。店を切り盛りするのは東京から移住した入江信文(としひさ)さん(38)、春菜さん(32)夫妻。2人は「誰もがほっとできる場所になったらいい」と願っている。

 店舗は市街地から車で約30分の上新山地区にあり、空き民家を改修。一望できる里山の風景が自慢だ。4月6日の開店から2カ月。地元の住民が「今まで市街地でなければコーヒーが飲めなかった」と来店し、10席の店内は知人同士でにぎわうことも。林業従事者も仕事の合間に立ち寄り、一息入れているという。

 信文さんは兵庫県川西市の出身、春菜さんは伊那市で生まれ東京で育った。2人の出会いは2017年。ともに大学を卒業し、都内の同じコーヒー店で勤務している時だった。山好きで、いつか自然の中に店舗を持ちたい―との共通点があった2人。将来の夢を語り合ううちに、一緒に候補地を探すことになった。

 互いの出身地で候補地を探していたが、上新山地区を訪れた際に「景色にほれた」(信文さん)という。自然の中でゆっくり過ごせる場所に店舗を構えたいという思いと重なり、22年秋に出店を決意。23年7月には伊那市東春近のゲストハウス「赤石商店」で間借り営業を開始するなど本格出店の準備を進めてきた。

 コーヒー豆も厳選し、中米の5カ国の豆を使用。2人は23年1~3月に、グアテマラやコスタリカなどの計16農園を訪ねた歩いた。豆はそこから輸入し、春菜さんが店内で焙煎(ばいせん)。ブレンドコーヒー(税込み550円)などを提供している。

 地域の人から「若い人が頑張ってくれてうれしい」と声をかけられることが、今の2人の励みになっている。信文さんは「人が温かく、(移住者を)受け入れる態勢ができている」。そんな地域への感謝を胸に、こだわりの一杯を提供していくつもりだ。