乳幼児期から本に親しんで…移動図書館車の購入費、地元の菓子卸売会社が寄付

AI要約

広島県福山市の菓子卸売業「外林」が設立50周年を記念し、移動図書館車を寄付した。市は絵本を載せて就学前施設を訪れ、読み聞かせを行う予定。

外林は社会貢献として2000万円を寄付した。市は6代目の移動図書館車を運行し、来春に新たな軽自動車を導入する。

外林の浦上和明会長は子どもの読書活動を支援し、市長も図書館車の重要性を強調している。

 乳幼児期から本に親しんでもらおうと、広島県福山市の菓子卸売業「外林(そとばやし)」が設立50周年を記念し、移動図書館車の購入費用などとして市へ1000万円を寄付した。市は絵本など計約500冊を載せて就学前施設などを訪れ、貸し出しや読み聞かせをする考えで、「子どもたちが感性を磨き、創造力を高め、心豊かに成長できるよう読書活動推進に活用したい」としている。(清水裕)

 同社は1974年6月に設立。東京オフィスや広島支店を始め全国に拠点を置く大手で、売上高はグループ連結で762億円(2022年5月期)を誇る。2014年の設立40周年の際にも、地域社会への貢献として2000万円を寄付した。

 市は1963年から、移動図書館車を走らせている。初代はライトバンで、愛称はなかった。67年にマイクロバスを改造した2代目が登場。「本を読んで希望を持ってほしい」という願いを込めて「のぞみ号」と名付けた。

 同社の浄財2000万円は、2015年から使っている6代目の低床トラック購入などに充てられた。現在、本やDVDなど計約4000点を積載。司書が同乗して1日に3~6か所を巡回し、1か月で59か所を回る。昨年度は延べ7162人が利用し、5万4425冊を貸し出した。

 今回の寄付1000万円で、のぞみ号に次ぐ2台目の移動図書館車となる軽自動車、絵本や図鑑などの資料を購入する。新たな愛称が付けられ、来春には市内を巡回する予定だ。

 子どもが活字文化に親しむことに、外林の浦上和明会長(67)は「人としての成長につながっていくという気持ちがある。前回の寄贈で購入されたのぞみ号が非常に活用されていて、市民のニーズがあると考えた」と話した。

 枝広直幹市長は「図書館から離れて住む家庭には本当にありがたい。人格形成に大きく影響を与えてくれるような良い本をそろえ、みんなに届けたい」と感謝した。