安彦考真の6・30決戦への思い「僕は何事も諦めないし、ひたすら立ち向かう」

AI要約

安彦考真が、格闘技の試合に挑む理由とその思いを語る。

子どもたちや対戦相手との関わりを通して、世の中を良くする姿勢を示す。

安彦考真の経歴やプロ入りの経緯、そして今後の展望について紹介。

安彦考真の6・30決戦への思い「僕は何事も諦めないし、ひたすら立ち向かう」

 6月30日の「RISE179」出場が決まりました。場所は後楽園。僕が格闘技をするのは、僕が格闘家として挑戦するのは、社会を良くしたいから。みんなを幸せにしたいから。結構本気でそう思っている。

 だから練習も手を抜かないし、最後までやり切るし、圧倒的な負荷もかける。それも全て、世の中を良くしたい。そして応援してくれるみんなを幸せにしたい。それは勝ち負けという勝敗ではなく、試合までの取り組みや想いや生きざま。そしてリングで躍動する姿と全力で挑む姿勢。どれだけ格闘家としてダサくても人間安彦考真が必死に挑もうとするその姿で、勇気を与えて、明日も頑張るぞって思ってもらう。

 倒れる時は志の向かう方向へ前のめりに倒れる。今回も対戦相手に思うことはいろいろあるが、もうどうでもいい。そんなことより、俺は格闘家として格闘技を通して世の中を良くしたい。みんなを幸せにしたいんだ。

 だから対戦相手にもそのつもりでリングに上がってもらいたい。もっと言えばそのつもりで準備をしてほしい。あなたの思い出づくりの場に付き合うつもりはない。対戦相手である西田選手と一緒に世の中をよくするための戦いをしたい。

 僕1人だけではできないからこそ、対戦相手とRISE、伊藤代表と共にそういうつもりで戦い続けたい。

 僕がリングにあがる理由は、年齢を言い訳にしたり、環境を言い訳にしたり、もっと言えば理不尽な大人の都合で苦しい思いをしている子どもたちを奮い立たせたい。勇気があれば立ち向かえる。そのメッセージこそが僕が格闘技を続ける理由。

 話は少し変わるが、先日養護施設を訪問してキックボクシング教室を開催した。最初は遠巻きで見ていた子どもたちも、気がつけばグローブに触れ、ミットをたたき、グローブでミットをたたくパンチ音で興奮していた。

 子どもたちにはさまざまな事情があるだろう。それでも人生という道を歩むことをやめるわけにはいかない。しかし、時に足が止まってしまう時もある。境遇に悔しさや苦しさを覚える時もある。そんな時に、少しでも僕の存在が身近で力強く楽しいものであったらうれしいと考えている。

 子どもたちが、「アミーゴ(僕はキックボクシング教室やサッカー教室ではこう呼んでもらっている)、試合頑張ってね!めちゃめちゃ応援してるからね!」と屈託ない笑顔でそうエールを送ってくれた。子どもたちだって、辛くて悲しい夜を過ごしたり、厳しい現実に打ちひしがれそうな時があるはずだ。それでも「頑張って」「応援してるからね」と言ってくれるその気持ちを僕はしっかり受け止めて、尚かつその受け止めた気持ちをリングで表現して、子どもたちを幸せにしたい。

 「お前に何ができるんだ!?」と言われそうだが、僕は誰から何を言われようが、本気で世の中を良くしたいと思っている。そしてみんなを幸せにしたい。特に応援に来てくれている仲間は絶対に幸せにする。

 格闘技には素晴らしい力がある。キックボクシングには人を元気にする力がある。僕はキックボクシングを通して、心を高めるサポートをしたい。心が高まれば、気高く生きることができれば、人をあおったり、罵倒したり、バカにしたりすることはなくなる。

 どんなスポーツも相手がいてこそ成り立つ。自分が勝ち負けだけにこだわり、自分の欲望のためだけに勝負をしてれば、それは一瞬の効果で終わる。しかし、対戦相手も含めて、団体と共に世の中を良くするために戦うができれば、必ずどこかで誰かの役に立てる。僕らは誰かの役に立って初めて意味があるんだ。

 だからこそ、僕は何事も諦めないし、ひたすら立ち向かう。いつだってどんな時だって必ず打つてはある。相手をリスペクトして、共に最高の時間を作り上げ、応援に来てるみんなを幸せにする。それが僕の使命であり天命である。

 ◆安彦考真(あびこ・たかまさ)1978年(昭53)2月1日、神奈川県生まれ。高校3年時に単身ブラジルへ渡り、19歳で地元クラブとプロ契約を結んだが開幕直前のけがもあり、帰国。03年に引退するも17年夏に39歳で再びプロ入りを志し、18年3月に練習生を経てJ2水戸と40歳でプロ契約。出場機会を得られず19年にJ3YS横浜に移籍。同年開幕戦の鳥取戦に41歳1カ月9日で途中出場し、ジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)を更新。20年限りで現役を引退し、格闘家転向を表明。22年2月16日にRISEでプロデビュー。プロ通算2勝1分け2敗。身長175センチ。

 (ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「元年俸120円Jリーガー安彦考真のリアルアンサー」)