秋葉原無差別殺傷事件16年 今も消えぬ苦しみ抱え、現場訪れる「思い出してしまうが…」

AI要約

秋葉原の歩行者天国での無差別殺傷事件から16年が経過。犠牲者を悼む人々が現場を訪れ、手を合わせる。

事件後遺症に苦しむ元医療従事者が現場に花を手向け、「被害に遭った全ての人の苦しみが軽くなるように」と祈りを捧げる。

加害者が起こした無差別殺傷事件の詳細や加害者の経過も記されている。

秋葉原無差別殺傷事件16年 今も消えぬ苦しみ抱え、現場訪れる「思い出してしまうが…」

東京・秋葉原の歩行者天国で7人が死亡し、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件から8日で16年を迎えた。事件を受け犯行に使用されたダガーナイフを含む殺傷能力の高い両刃ナイフが規制されるなどしたが、その後も事件は後を絶たない。「忘れてはいけない」。現場交差点を訪れた人たちは事件を振り返り、犠牲者を悼んで手を合わせた。

「来ると思い出してしまう。それでも来続けることに意味があると思っている」。大学院生の西村博章さん(39)は献花台に花を手向けながらそう話した。

西村さんは当時、医療従事者として被害者の救命活動を行った。措置で命を救うことができた人がいた一方で、救護に当たった男性が死亡したとする報道にも触れた。責任を感じ、心に傷を負った。現在も心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療を続け、発作を抑える薬を飲んでいる。

事件の後遺症に悩まされているが、毎年この場を訪れる。「被害に遭った全ての人の苦しみが軽くなるように」。この日も祈りをささげた。

当時、友人との食事を終えた後に事件に遭遇した50代の男性も毎年欠かさず献花に訪れる。「被害者や遺族の方のつらさが少しでも癒やされるようにあの時に居合わせた者として手を合わせずにはいられない」と話した。(塚脇亮太)

■秋葉原無差別殺傷事件

平成20年6月8日午後0時半ごろ、東京・秋葉原で、加藤智大(ともひろ)元死刑囚がトラックで歩行者天国に突っ込み、通行人をはねた。逃げ遅れた人をダガーナイフで襲撃。7人が死亡し、10人が重軽傷を負った。加藤元死刑囚は殺人などの罪で起訴され、27年に最高裁で刑が確定。令和4年7月に死刑が執行された。執行当時は39歳だった。