「事件を機に不安感じる人も」 保護司殺害、九州関係者も動揺

AI要約

福岡市の保護司が殺害される事件が起こり、関係者に動揺が広がっている。

保護司は対象者と面会を重ねながらサポート活動を行い、事件を受けて不安を感じる保護司もいる。

保護観察対象者への偏見が広がらないように対策が必要であり、トラブル防止のため情報共有や対応策が検討されている。

「事件を機に不安感じる人も」 保護司殺害、九州関係者も動揺

 保護司を殺害した疑いで保護観察中の男性が逮捕された事件を受け、九州の関係者にも動揺が広がった。

 「2人の間に一体何があったのか」。福岡市の保護司の男性(73)は驚きを隠さない。男性は「社会奉仕になるなら」と十数年前に保護司を引き受け、これまで20人ほどの対象者と面会を重ねてきた。身の危険を感じたことはないが、「事件を機に不安を感じる保護司はいるだろう」とみる。

 男性の場合、月2回の面会で近況などを尋ね、時に3時間ほど話し込むこともある。面会直前になって「行けない」と連絡してきたり、約束をすっぽかされたりすることもあるが、対象者から「資格を取りました」などと前向きな報告があるとうれしいという。

 面会場所は自宅に限らず、男性の場合は「対象者が喜んでくれるから」と飲食店で食事しながら面会することが多いという。保護司の活動拠点である各地の更生保護サポートセンターなどで面会することもできる。男性は「今後は自宅以外での面会が増えるかもしれないが、面会自体は避けられないので対策はそう簡単ではないだろう」とみる。

 一方、事件を受けて保護観察の対象者の印象が悪化するのを懸念する声もある。福岡市で10年以上、保護司を務める60代の女性は、これまで身の危険を感じたことはなく、周囲でも対象者から危害を加えられたとの話は聞いたことがないという。女性は「事件によって保護観察対象者は危険だという偏見が広がらないでほしい」と話す。

 福岡県保護司会連合会の瀬戸利三会長(72)は「今回の事件をまだ詳しく把握できていないが、事件が起きた以上、注意しなければならない」と話す。

 瀬戸会長によると、トラブル防止のため保護観察官と常に情報共有し、対象者の様子がおかしければ、すぐに連絡する体制を作っており、必要に応じて担当の保護司を交代したり、1人の対象者に複数の保護司を付けたりすることもあるという。瀬戸会長は「保護司は大事な仕事だ。今後、保護観察所とともにどう対応すべきか検討したい」と話した。【栗栖由喜、池田真由香】