「視力が1.0未満」の割合が過去最高に。「子どもの近視」は大人が想像する以上に深刻だ

AI要約

2023年の秋、裸眼視力が1.0未満の子どもの割合が過去最高に達したことが報じられた。

文部科学省の調査によると、小学生、中学生、高校生それぞれの近視率が過去最多を更新しており、特に高校生では約72%にも上る。

近視の増加が40年以上続いており、メガネをかけている子どもの増加が顕著である。

「視力が1.0未満」の割合が過去最高に。「子どもの近視」は大人が想像する以上に深刻だ

「視力が1.0未満の子どもの割合が過去最高に」――。

2023年の秋、あるショッキングなニュースが報じられた。

文部科学省による調査の結果、裸眼視力が1.0に満たない子どもの割合が小学生で約38%、中学生で約61%、高校生になると約72%となり、いずれも過去最多を更新したというのだ。

日本では過去40年以上にわたり、子どもの近視は増加の一途をたどっている。「昔に比べてメガネをかけている子が増えたな」とは皆さん何となく感じていたのではないだろうか。

日米で30年以上眼病研究を続ける眼科医であり、近視撲滅を目指すクボタグラスの発明者である窪田良氏は著書『近視は病気です』(東洋経済新報社刊)でこうした状況に警鐘を鳴らす。

■今、子どもの目が危ない

 突然ですが、あなたは近視ですか?  

 おそらく半分の人が「近視です」、半分の人が「いえ、私は目はいいです」とおっしゃると思います。

 なぜそんなことが言えるのかというと、さまざまな調査によって、日本人の成人のおよそ5割前後が近視であるという結果が出ているためです。

 日本で今、その「近視」が大きくクローズアップされています。

 2023年11月に、文科省があるショッキングなデータを発表し、世間を大きく驚かせました。

 問題になったのは、2022年度の「学校保健統計調査」です。それによると、視力が1.0未満の子どもの割合が、過去最多となったのです。

 それによると、裸眼で視力が1.0に満たない小学生は37.9%、中学生は61.2%、高校生になるとさらに増えて71.6%となりました。

 つまり、小学1年生で約4人に1人が近視であり、小学6年生以上になると2人に1人以上が近視、しかも大人を上回る割合になっているということです。

 今から45年前の1979年度は視力が1.0未満の小学生は17.9%、中学生で35.2%、高校生でも53.0%でした。当時より、大幅に増えていることになります。

 このことは、メディアでも大きく取り上げられましたから、ご覧になった方も多いでしょう。

 実はその前の年、2022年にも、文科省は同じように衝撃的なデータを公表しています。こちらは、全国の小中学生を対象に、眼軸(がんじく)の長さを初めて調査したものです。