「本部長としては新たな不祥事が出ることを恐れたと思う」…鹿児島県警内部文書の漏えい容疑、前部長が法廷で陳述

AI要約

警察の内部文書を外部に漏えいした国家公務員法違反容疑で逮捕された鹿児島県警前生活安全部長の本田容疑者が逮捕理由を開示。本田容疑者は隠蔽された警察官の不祥事に憤慨し、文書を記者に送ったと述べた。

本田容疑者は生安部長として、捜査指揮時に本部長から「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」との発言に不満を抱え、印鑑を押さなかったことを証言した。本田容疑者は、新たな不祥事を恐れる本部長との間に対立があったと主張。

弁護人は本田容疑者の行為を内部通報として主張。一方、裁判官は本田容疑者が職務上知り得た秘密を漏らしたとして、勾留を決定した。

 警察の内部文書を外部に漏えいしたとして、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕された鹿児島県警前生活安全部長・本田尚志容疑者(60)の勾留理由開示の法廷が5日、鹿児島簡裁(山之口忠裁判官)で開かれた。本田容疑者は意見陳述で、「県警職員が行った犯罪行為を、野川明輝本部長が隠蔽(いんぺい)しようとしたことが許せなかった」と述べた。

 本田容疑者は冒頭、「書面を記者にお送りしたことは間違いありません」としたうえで、「本部長が警察官による不祥事を隠蔽しようとしたことがあり、いち警察官として許せなかった」と訴えた。

 県内の女子トイレで昨年12月に盗撮したとして5月に逮捕された県警枕崎署員の不祥事に触れ、生安部長として野川本部長に捜査指揮を確認した際、野川本部長から「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」と言われ、「本部長指揮の印鑑を押さなかった」などとした。

 県警では、不祥事が相次いでいたとして、「本部長としては新たな不祥事が出ることを恐れたと思う」と述べた。

 弁護人は本田容疑者の行為は内部通報のようなもので、「守秘義務違反は成立しない」などと主張した。

 山之口裁判官が述べた勾留の理由とする容疑は、本田容疑者は県警を退職した直後の3月28日頃、札幌市の第三者に県警が捜査した県警霧島署員によるストーカー容疑事案の処理結果を印字した書面を郵送し、職務上知り得た秘密を漏らしたもの。

 県警の森満雅哉監察官は「現在捜査中の事件の被疑者(容疑者)の供述内容についてのコメントは差し控える」としている。