「隠蔽が許せなかった」情報漏らした疑いで逮捕の前県警幹部が陳述

AI要約

鹿児島県警本部の前生活安全部長が国家公務員法違反で逮捕され、勾留理由開示手続きが行われた。容疑者は守秘義務違反を認め、不祥事を隠蔽しようとしたことがあり、そのため文書を記者に送ったと主張。

前部長は退職後に警察官らの個人情報が記された文書を漏らし、逮捕された。以前の盗撮事件や隠蔽に失望し、内部告発のつもりで行動したと訴えた。

前部長の弁護士は守秘義務違反罪が成立しないと主張。盗撮事件をめぐる警察内での混乱が続く中、事件の詳細は捜査中として県警はコメントを差し控えている。

「隠蔽が許せなかった」情報漏らした疑いで逮捕の前県警幹部が陳述

 国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕された鹿児島県警本部の前生活安全部長、本田尚志容疑者(60)の勾留理由開示手続きが5日、鹿児島簡裁であった。前部長は意見陳述で「(県警内の)不祥事をまとめた文書」を「ある記者」に送ったことを認め、「県警職員の犯罪行為を(県警の)本部長が隠蔽(いんぺい)しようとしたことがあり、どうしても許せなかった」と理由を述べた。

 県警によると、前部長は警察官らの個人情報が記された文書を退職後の3月下旬に第三者に漏らしたとして、5月31日に逮捕された。

 前部長の意見陳述によると、昨年12月に県警の現役警察官による盗撮事件があったが、野川明輝本部長が捜査に消極的だったと主張。別の不祥事についても「本部長指揮の事件」となったが公表されず、「不都合な真実を隠蔽しようとする県警の姿勢に失望した」「マスコミが記事にしてくれることで、不祥事を明らかにしてもらえると思った」と訴えた。

 前部長の代理人弁護士も「今回の行為はいわば内部通報のようなもの。守秘義務違反罪は成立しない」と主張した。

 盗撮事件をめぐっては5月中旬、枕崎署の巡査部長が性的姿態撮影等処罰法違反などの疑いで逮捕されている。

 県警は取材に「捜査中の事件の被疑者の供述内容についてのコメントは差し控える」としている。(冨田悦央)