登校中の女児2人殺害、飯塚事件の第2次再審請求を棄却…女性「新証言」の信用性否定

AI要約

福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」を巡る久間三千年元死刑囚の再審請求審で、新たな目撃証言の信頼性が争われた。

再審請求審で焦点となった女性の新証言について、信用性に疑問が指摘され、弁護側は不服として即時抗告する方針。

事件当日に被害者に似た2人が乗り、元死刑囚とは別人の男が運転する車を目撃したとする新証言もあったが、信用性が否定された。

 福岡県飯塚市で1992年、女児2人(いずれも当時7歳)が殺害された「飯塚事件」を巡り、殺人罪などで死刑が確定し、執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚(執行時70歳)の第2次再審請求審で、福岡地裁は5日、請求を棄却する決定を出した。鈴嶋晋一裁判長は、2人を見たとされる女性が当時の供述を否定した新証言などについて「信用できない」と述べた。弁護側は決定を不服として、福岡高裁に即時抗告する方針。

 第2次再審請求審で焦点となったのは、女児2人の最後の目撃証言として確定判決で認定された女性(当時20歳代)の新証言。女性は「事件当日は目撃していなかった。記憶と異なる調書が作られた」と新たに証言し、その信用性が争われた。

 確定判決では、女性が目撃したとする時間の後に、元死刑囚のワゴン車と特徴が似た車が通過したとする別の目撃証言があったことなどを踏まえ、誘拐の時間と場所を認定していた。

 決定は、捜査機関が無理に女性の記憶に反する調書を作成する動機や必要性が見いだせないと指摘。弁護側が今回、女性の新証言を供述録取書として作成して以降も、目撃日時や場所について変遷がみられることも踏まえ、信用性を否定した。

 弁護側は、被害者に似た2人が乗り、元死刑囚とは別人の男が運転する車を事件当日に目撃したとする別の新証言も提出していたが、決定は「(被害者と)似ていたと判断した具体的な根拠を示すことができていない」と退け、そのうえで「無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠とは認められない」と結論づけた。

 ◆飯塚事件=1992年2月、小学1年の女児2人が登校中に行方不明となり、福岡県甘木市(現在の朝倉市)の山中で遺体が見つかった。94年に殺人容疑などで逮捕された元死刑囚は一貫して無罪を主張したが、死刑判決が言い渡され、2006年に最高裁で確定。08年に執行された。