バイデン大統領に生活費高騰の呪縛、有権者に好景気や株高は二の次

AI要約

米株式市場が史上最高値を更新し、経済が健全に成長しているにも関わらず、多くの米国民が深刻な経済問題を感じている理由を検証。

世論調査や消費者信頼感調査によると、経済に対する不満や否定的な見方が増加しており、これがリスクを高めている。

政治的な二極化や情報の選択的な取得により、バイデン政権のもとで国民が最悪の状況しか見ない傾向があり、これが感情を増幅させている。

バイデン大統領に生活費高騰の呪縛、有権者に好景気や株高は二の次

(ブルームバーグ): 米株式市場は活況を呈し、史上最高値をしばしば更新している。失業率は歴史的な低水準に近く、経済は健全な成長を続け、インフレ率は正常な水準に向かって低下し続けている。では、なぜ米国民は自国の経済が深刻な問題を抱えていると確信しているのだろうか。

世論調査によると、経済に不満を持ち、バイデン大統領を批判する人が大多数を占めている。この中には、事実ではないと検証できるものもある。先月「ガーディアン」紙の委託でハリス・ポールが実施した調査によれば、55%が経済は縮小していると考え、49%が失業率は50年ぶりの高水準(低水準ではない)にあると考え、49%がS&P500種株価指数は年初来で下落していると考えている。これらは全て間違っているというのが事実だ。世論調査が実施された時点では、S&P500種は年初来で約12%上昇し、過去12カ月間では29%近く上昇していた。

世論調査だけではない。ミシガン大学やコンファレンスボードが実施した消費者信頼感調査では、世界金融危機のあった2008年よりも楽観的な見方が減少している。このような否定的な見方は、リスクを取ることを躊躇(ちゅうちょ)させ、リセッション(景気後退)のリスクを高める。

経済が健全であることを示す標準的な指標には欠点もあるが、(陰謀論者が何と言おうと)偽物ではない。では、国民の多くが不況時と同じように悪いと感じている理由をどう説明すればいいのか。

政治的な二極化によって、国民の多くはバイデン大統領の下では最悪の事態しか目にしないと決めてかかっている。ミシガン州の調査を政党別に見ると、共和党員は現在の状況をグレート・リセッション(2008年の金融危機をきっかけとする景気後退)のどの時点よりも悪いと考えている。ネット上で自分に近い意見や情報ばかりを目にする「エコーチェンバー」現象は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の怒りと不満の余韻と同様、このような感情を増幅させている。