AIブームで新たな勝者と敗者、恩恵まだ届かぬソフトウエア株に売り

AI要約

ウォール街の期待に応えられなかったソフトウエア企業に対する市場の厳しい仕打ちが続いている。

半導体株指数が急上昇する中、ソフトウエア企業の決算不振が相次ぎ、株価が大きく下落している。

AI時代におけるソフトウエア企業の苦境が浮き彫りになり、市場からの期待が高まっている。

(ブルームバーグ): ウォール街の期待に応えられなかったソフトウエア企業に対する市場の厳しい仕打ちが止まらない。人工知能(AI)ブーム時代の新たな勝ち組と負け組を生み出しているのではないかとの懸念が出ている。

ハイテク業界では今年に入り、すでに大幅な乖離(かいり)が生じている。ソフトウエア株指数がマイナス圏に沈む一方、半導体株指数は24%の値上がりだ。半導体メーカーなどハードウエア企業がAI投資の果実を得ようとしているタイミングで、市場の期待に届かない企業に対して市場がしびれを切らせつつある構図が鮮明になっている。

さえない決算で失望を招くソフトウエア企業が相次ぐ中で、30日にはモンゴDBが弱い四半期決算と通年売上高見通しの引き下げを発表。株式市場は売りで反応し、31日午前の取引では25%余り下落している。同業のデータドッグなども連れ安となっている。

これに先立ち、セールスフォースも20%下落と、1日としては2004年以来の大幅な下げを記録。ユーアイパスも34%急落していた。いずれも売上高見通しが市場予想を下回った。先週にはワークデイが2016年以来の大幅安に見舞われた。

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ジャニー・モントゴメリー・スコットのチーフ投資ストラテジスト、マーク・ルスキーニ氏は「ソフトウエア銘柄の下げは、ノイズというよりはシグナルに近い」と話す。その上で「ソフトウエア向けの支出は他の分野より頭一つ抜けていた。このような縮小の動きは懸念すべき材料だ」と続けた。

ブルームバーグがまとめたデータによると、S&P500種株価指数を構成するソフトウエア企業で、売上高見通しが市場予想を上回ったのは半数強だった。これに対し、半導体メーカーは70%を超える。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のシニアテクノロジー担当アナリスト、アヌラグ・ラナ氏は、現時点でAIによって売上高が伸びているソフトウエア企業は、目立った例外であるマイクロソフトを除いてほとんどないと述べる。支出はハードウエアか、アルファベットやアマゾン・ドット・コムといったクラウドサービス業界の巨人に流れているという。