セブン&アイが北米の責任者に役員報酬「年77億円」払う理由、業績連動型で膨張、報酬額は井阪社長の22倍に

AI要約

セブン&アイ・ホールディングスの取締役専務執行役員である、ジョセフ・マイケル・デピント氏の2023年度役員報酬が77億円に達し、その内訳などを明らかにする報道があった。

デピント氏の報酬の大部分は北米コンビニ子会社からのもので、報酬体系が業績連動型であることが要因とされている。

デピント氏はSEIの発展に長年貢献しており、SEIはグループ最大の中核事業となった。

セブン&アイが北米の責任者に役員報酬「年77億円」払う理由、業績連動型で膨張、報酬額は井阪社長の22倍に

 セブン&アイ・ホールディングスの取締役専務執行役員である、ジョセフ・マイケル・デピント氏の2023年度役員報酬が77億円に達していたことが、29日わかった。

同日開示された、セブン&アイの有価証券報告書で明らかになった。同氏は前期も37億円超の役員報酬を受け取っており、配当収入などを除いた役員報酬としては日本の上場企業の中で2番目の多さだった(詳細はこちら)。今回の「昇給」でトップに躍り出る可能性もある。

■米国子会社のインセンティブで増加

 77億円の内訳をみると、セブン&アイの取締役としての報酬はわずか2200万円。残りのすべては、同氏がCEO(最高経営責任者)を務めるセブン&アイの北米コンビニ子会社、セブンーイレブン・インク(SEI)取締役としての報酬となっている。

 SEIからの報酬はなぜここまで膨らんだのか。SEIの報酬体系が、業績連動型となっていることが一つの要因だ。

 セブン&アイの井阪隆一社長CEOの報酬は、7割が業績連動型報酬となっている。一方でSEIでは9割以上が業績連動型報酬だ。SEIでは短期(直近1年)、長期(直近3年)での業績・企業価値向上度合いによってインセンティブを設けており、今回の査定対象期間は短期が2022年、長期が2020年~2022年だった。また円安も報酬額を引き上げる要因となった。

 デピント氏はアメリカの競合コンビニチェーン首脳を経て、セブン&アイ・ホールディングス発足前の2002年にSEIに入社した。翌年にはバイスプレジデント(副社長)に就任しており、以来20年以上、SEIの陣頭指揮を執ってきた。

 SEIはセブン&アイ完全子会社となった2005年には店舗数6000弱、営業利益300億円台と、グループの1事業に過ぎなかったが、2023年度には店舗数1万3122、営業利益4139億円とグループ最大の中核事業となった。その最大の功労者がデピント氏であることは間違いない。