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滋賀「米原駅」がびっくりするほど栄えてない理由! むしろ“何もない”を逆手にとって、「翔んで米原」目指すのだ
米原市の栄えない理由や観光振興の課題を詳細に分析した記事内容を要約した。
駅の利用者数や観光客数の統計データを元に、米原市の観光魅力や課題を明らかにした。
歴史文化の発信力の不足やイベント集客の低さが、米原市の観光振興に影響していることが示唆された。
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筆者(昼間たかし、ルポライター)は先日、当媒体に「滋賀「米原駅」がびっくりするほど栄えてない理由 新幹線が停まるのになぜ?」(2024年5月19日配信)という記事を書いた。「駅は利用したことがあるが、改札から一歩も出たことがない」の“米原駅あるある”がウケたのか、ヤフーニュースには1000件を超えるコメントが寄せられた。
また、「スタッフゥ~」のネタでおなじみのお笑いタレント・狩野英孝さんがなぜか同日、X(旧ツイッター)に記事を投稿してくれた(1500いいね!)。狩野さん、ありがとうございました。米原への深い愛(多分)を感じました。
さて前回の記事の反応で、滋賀県の北東部に位置する米原駅(米原市)と同市がびっくりするほど栄えてないことを気にかけている人が多いのはわかった。というわけで、今回は第2弾である。盛り上げ提案だ。その前に、前回の内容を箇条書きでまとめておこう。
・米原駅は鉄道の要衝であるが、駅周辺は活気がなく発展が遅れている(東海道新幹線、東海道本線、北陸本線、近江鉄道が乗り入れている)。
・1889年に東海道本線と北陸線の分岐点として鉄道の町として発展したが、地理的条件が発展を妨げた。
・駅の東西が線路で分断され、一体的な開発が難しかった。
・役場庁舎の移転問題や一貫性のない行政方針が市街地の分断を招いた。
・米原駅周辺の開発が進まず、ベッドタウンとしての発展にも向いていない。
・米原市には観光資源が乏しく、観光地としての魅力が低い。
・2019年の観光入込客数では、米原市は滋賀県内で低い順位にある。
・米原市は「広域観光ルート」の開発で他市と連携する可能性がある。
・現在、米原市は東口の再開発事業を計画しているが、現実的な発展策が求められている。
ざっとこんなところだろう。
今回は、統計資料などを用いてより詳細な現状分析を行うとともに、米原市において観光振興ビジョンがいまだ策定されていない問題を掘り下げたい。まず、各種のデータを見ていこう。2022年米原駅の1日平均乗車人員は
・新幹線:5196人
・東海道本線:4636人
となっている。県内唯一の新幹線駅となっているものの利用者は決して多くはない。高速道路を見ると2022年の米原ICの出入交通量は「164万9344台」である。
●名神高速道路
・彦根:387万316台
・湖東三山スマート:168万5837台
・八日市:341万600台
・蒲生スマート:174万4431台
・竜王:489万2949台
・栗東湖南:253万2533台
・栗東:785万8547台
・瀬田東:459万6485台
・瀬田西:221万2163台
・大津:334万8455台
●新名神高速道路
・草津田上:354万7370台
・信楽:132万1011台
・甲南:151万8014台
・甲賀土山:206万2612台
●北陸自動車道
・米原:164万9344台 ←ココ!
・長浜:209万4249台
・小谷城スマート:49万974台
・木之本:117万5976台
●京滋バイパス
・石山:181万4457台
・南郷:48万8813台
彦根ICの387万316台、竜王ICの489万2949台を大きく下回っており、高速道路の利用状況も芳しくない。
これは、観光客数からも明らかである。2022年の観光入込客数(年間)を見ると、米原市は約183万人である。しかし
・彦根市:約240万人(米原市の1.3倍)
・長浜市:約524万人(同2.9倍)
という現状だ。内訳を見ると、歴史・文化での格差が顕著だ。「博物館・美術館等」の項目では、米原市は約4万人と、彦根市の約34万人、長浜市の約38万人を大きく下回っており、
「歴史文化の発信力の弱さ」
が浮き彫りになっている。また、「行祭事・イベント」の項目では、米原市の入込はゼロである。対して、彦根市は約30万人、長浜市は約13万人と、イベントを通じた集客でも大きな差が付いている。
自然分野は、米原市は約26万人と、長浜市の約24万人をわずかに上回っている程度だ。米原市の「都市型観光(買物・食等)」の入込客数も約78万人と、彦根市の約86万人、長浜市の約98万人と比べるとやや見劣りするものの、他の項目と比較すると健闘しているといえる。
ただ、いずれにしてもほかの地域と比較して、米原市の観光入込客数の少なさは際立っている。