なぜSeriaは勝てない?100円ショップ王者「DAISO」だけが“物価高でも絶好調”の理由

AI要約
円安が続く中、100円ショップ業界は岐路に立たされている。主要4社の業績を比較し、業界の現状や展望を分析。
なぜSeriaは勝てない?100円ショップ王者「DAISO」だけが“物価高でも絶好調”の理由

 円安に歯止めがかからない中、岐路に立たされている業態が「100円ショップ」だ。海外で製造した商品を“100円”という均一価格で販売する業態にとって、現在の歴史的な円安は大幅減収につながる。このように業態維持が難しくなる中でも、消費者のお財布事情を踏まえ「100円均一」を死守する企業もあれば、200円や300円の商品を拡充するなど価格修正に切り替える企業もあるなど、現在、各社の戦略には違いが出てきている。はたしてどの選択が消費者に受け入れられているのだろうか。

 円安が話題になるたびに、マスコミ関連の方々から聞かれるのが、「こんな円安になってしまうと、100円ショップは経営が成り立たなくなるのではないか」という話だ。たしかに、海外で製造した商品を100円均一で品揃え・販売する、というビジネスにとって、円安の進行はその収益減少に直結する大問題である。

 テレビ番組では、街の独立系100円ショップを取材し、商品棚のそこかしこがスカスカになっており、100円で販売できる商品が仕入れられなくなっている、という窮状が映し出されている。実際のところ、どうなのであろうか。

 はじめに、100円ショップ業態を主軸とする企業の業績から見ていきたい。100円ショップと言えば、大手による寡占化がかなり進んでいるため、我々が接する店と言えば、大創産業(以下、ダイソー)、セリア、キャンドゥ、ワッツの大手4社が大半を占めるようになった。

■100円ショップ業界、上位4社

・大創産業:DAISO(ダイソー)

・セリア:Seria(セリア)

・キャンドゥ:Can Do(キャンドゥ)

・ワッツ:Watts(ワッツ)、meets(ミーツ)、silk(シルク)、FLET’S(フレッツ)など

 各社の売上規模を比べると、ご存知ダイソーが売上6,749億円で圧倒的なトップ企業となっている。次いで2位はセリアの2,232億円、3位はキャンドゥ803億円、4位はワッツの597億円で、上位4社を合算すると1兆円を超える。中でも、首位ダイソーと2位セリアは競り合いながら両社売上を伸ばし続けており、3位以下はかなり引き離されつつある状況にある。

 最近では、この上位4社に加えて、「300円ショップ」という業態の中から、上場アパレル企業のパルが運営する「3COINS(スリーコインズ)」が急成長しており、直近では売上630億円と、100円ショップ大手の一角を脅かす存在となった。

 そのため、同業界の名称も、「100円ショップ」から「均一価格ショップ」と言われているようになり、5社が牽引する市場規模はいまだに拡大基調にある。

 ここからは、均一価格ショップ各社の売上・利益率などを比較しながら、どの路線が生き残る道につながるのか見ていきたい。