米国のEV市場減速は一時的か、1-3月は過半数メーカーで販売増加

AI要約

米国における電気自動車(EV)販売は低調で、業界全体に影響が出始めている。

一部のメーカーは好調な第1四半期を過ごしており、需要の伸びが見られる。

GMやTeslaなど一部のメーカーは製品サイクルの影響を受けて苦戦しているが、EV市場全体の成長は期待される。

(ブルームバーグ): 米国における電気自動車(EV)販売は年初から低調で、ブームが去ったと結論付けるのは容易に思えるかもしれない。1-3月(第1四半期)の販売台数は前年比ほぼ横ばいで、フォード・モーターは建設中のバッテリー工場での生産能力を大幅に縮小、テスラは世界で少なくとも10%の人員を削減する。ただこうした厳しい状況も、業界全体の一部を映しているに過ぎない。

フォード、計画中のバッテリー工場を縮小へ-EV需要低迷で

テスラ社内に広がる疑心暗鬼、終わらぬ人員削減に「次は自分の番」

一部で減速の兆候が示される一方、EVがまだこれからの業界であり、次の成長期を目前に控えていることを示唆する兆候も見られる。実際、大半の自動車メーカーにとっては第1四半期でさえ非常に好調だった。米国でEVを販売する大手メーカー10社のうち6社は、販売台数が前年比で急増。現代自動車と起亜自動車は56%増、フォードは86%増えた。4月分に関するサンプル調査でも好調な販売が示されている。

コックス・オートモーティブの業界インサイト担当ディレクター、ステファニー・バルデスストリーティー氏は、EV市場には2つの側面があると指摘。一部のブランドに記録的な数の消費者が群がる一方、バッテリー性能が劣り航続距離が短い、充電速度が遅い、価格が高いといった車には背を向けているという。一時的とはいえ新車の発売が遅れたことも、市場が勢いを失っているとの見方を強める結果となった。

「需要自体はなお伸びている。全てのブランドが同じペースではないというだけだ」とバルデスストリーティー氏。「現在のところテスラには新しいモデルがなく、フォードでも多くは準備されていない。だが現代自とBMW、起亜、ゼネラル・モーターズ(GM)の『キャデラック』は強い勢いで前進している」と述べた。

GMは最大の原動力にも

今年最悪のスタートを切ったのはGMとテスラだ。両社とも、製品サイクルが影響した部分がある。GMは今年、最も売れ筋のEVである「シボレー・ボルト」の生産を終了。一方テスラは、デザイン刷新のため「モデル3」の生産を中断した。この2モデルを除けば、第1四半期の米EV販売台数は前年同期比23%増と十分な伸びを示し、伸び率は同期間における世界のEV販売に並んだ。