「次のiPhone」になるはずのAI端末はポンコツすぎた…元Apple幹部の夫婦が出した「Ai Pin」が酷評されたワケ

AI要約

AIデバイス「Ai Pin」が発売され、スマホのない未来を切り拓く革新的なデバイスだったが、その期待に反して、現実はどうなるのか。

本体は小型コンピューターで、身につけるピンバッジ型のデバイス。AIアシスタント機能を搭載し、様々な質問に回答するが、高価な価格設定が課題となる。

製品が日常生活に取り込まれる様子や機能がデモ動画で紹介され、AIとの新しい関係性を提案している。しかし、実際の市場での受け入れや普及は未知数である。

■「スマホのない未来」を切り拓くはずだった

 昨年から話題を呼んでいたAIデバイス「Ai Pin」が、今年4月11日、ついに発売された。Apple出身者によるスタートアップ「Humane(ヒューメイン)」が手がける、“身につける小型コンピューター”だ。

 本体は5cm四方ほどのピンバッジ型で、Apple Watchのフェイス(本体)部分より一回り大きなサイズ感だ。マグネット式のプレートをはさんで胸元に付けると、レーザープロジェクターで手のひらに情報を投影する。搭載のカメラやGPSで周辺状況を総合的に把握し、ディスプレイ不要のデジタル・アシスタントとして機能する。

 本体をタップすればAIアシスタントが起動し、ネットワーク経由であらゆる質問に回答。価格は699ドル(約11万円)と高価だが、スマホより小型かつ、アプリをいくつもダウンロードせずとも製品単体で完結する革新的なデバイスとして、スマホのない未来を切り拓く。――そのはずであった。

■「AIを日常生活の一部に取り込む」とアピール

 新型端末は発売前から、多機能で優秀なAIアシスタントとして話題をさらった。

 Humane社が昨年11月に公開したデモ動画では、共同創設者のイムラン・チャウドリ氏が本体をタップ。続いて「アンドリューが送ってくれた玄関のパスコードは何だった?」と尋ねると、Ai Pinが過去のメッセージ受信履歴を分析し、「7361です」と回答。「以前ならメッセージを延々遡る必要がありました」と、チャウドリ氏は利点を強調する。

 このほか動画では、スペイン語と英語間の双方向通訳、カメラにかざしたアーモンドのタンパク質含有量を回答、今日食べた栄養素を集計、メッセージの文章案を作成など、多彩なタスクをネット経由でAIがこなす様子が紹介されている。

 本体は服越しにマグネットで装着する。服の裏側から支えるパーツはバッテリーを兼ねており、常時ワイヤレス給電を行う。バッテリー部分を交換することで、小型ながら長時間の使用にも耐える設計だ。カメラやマイクの起動時は前面の「トラスト・ライト」が点灯し、プライバシーに配慮する。

 チャウドリ氏は昨年11月に発表した声明で、「AIを日常生活の一部として取り込み、人間性を損なうことなく私たちの能力を向上させる」と製品のビジョンを公言。スマホに縛られることなく、AIとより良い関係を構築できるとアピールした。