果てしなく一直線!! 都内を一刀両断する「ナゾの直線道路」が存在するワケ 通れるのは一部のクルマだけ!?

AI要約

都内にある謎の直線道路の正体は、大正時代に建設された水道道路である。

水道管を敷設する際に直線が基本となり、道路として活用された。

現在でも重量制限や幅制限が設けられ、重車両の通行が制限されている。

果てしなく一直線!! 都内を一刀両断する「ナゾの直線道路」が存在するワケ 通れるのは一部のクルマだけ!?

 都内の道路網で、ひときわ目を引く異様な光景が、世田谷区から杉並区にかけて、都区部を斜めにバッサリ両断するように伸びる、長い直線道路です。

 

 ひたすら斜めにまっすぐ伸びる”謎の道路”はなぜ生まれたのでしょうか。

 この道路はひとつの東京都道の路線「高円寺砧浄水場線」として管理されています。

 まっすぐ道路だから都内の移動に便利じゃないかと思いきや、実はすれ違いも困難な狭い生活道路といった趣きで、一部ではその狭い道路の真ん中に街路樹が並び、上下線が物理的に分離されている箇所もあります。

 それでもまっすぐ伸びている道路なので、目を凝らすと住宅地の向こうのかなり遠くまで、直線道路の先を見通すことができます。

 東京の街は地形の起伏が多いため、都市計画道路なども含め、どの道路もクネクネと曲がりくねっています。そのなかで、この狭くも直線が長い道路は目立っています。

 この直線道路の正体は「水道道路」という存在背景です。

 大正時代、都内では急速に宅地化が進みましたが、上水の供給インフラが追いついていませんでした。そこで、多摩川から取水し、砧浄水場で処理したあと、「荒玉水道」で杉並区や中野区、練馬区をはじめ広域に水を届けることとなったのです。

 できるだけ無駄のない供給ルートを取ろうとして、水道管は直線が基本となりました。そしてその水道を敷いた敷地を、道路に活用したのがこの「荒玉水道道路」として今に至るわけです。「高円寺砧浄水場線」という路線名にも、その面影があります。

 水道管は内部直径1.1m、深さ1.3m。昨今の重車両が通行すると管を損傷してしまうおそれがあるため、大半の区間で「重量4トン制限」「幅1.8m制限」などの規制が行われています。また、ポールコーン(オレンジ色のラバー)などで物理的に入口を狭めているところもあります。