インフレ鈍化の高揚感受けた世界的債券ラリー、英国の現実を直視へ

AI要約

世界的な債券ラリーが再び現実を直視するために、インフレ鈍化の兆候が米国で見られた。

英国のインフレ指標が注目され、高い数字が出れば利下げ観測が後退する可能性がある。

市場では、物価上昇圧力の時代の終焉が近づき、インフレの動向に注目が集まっている。

(ブルームバーグ): 米国のインフレがようやく鈍化しつつあるとの兆候を受けて火がついた世界的な債券ラリーは今週、再び現実を直視することになる。

先週発表された米国のインフレ指標が6カ月ぶりに鈍化したことから、世界の国債相場は月間ベースで今年最高のパフォーマンスとなっている。米国内では、金融当局による利下げが間近に迫っているとの見方が強まり、他国でも利下げ余地があると投資家を安心させている。

しかし、市場の関心は今、英国のインフレ指標に向かっている。インフレ率が11.1%という高水準を記録した2022年後半以降、英国の物価は大幅に鈍化しているとはいえ、投資家は下降路線は順風満帆ではないと警戒。市場にとって英国は、歴史的な高インフレとの世界的戦いがついに終わりに近づいているかどうかを見極める最新のチェックポイントだ。

RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は英消費者物価指数(CPI)が重要だと述べ、「多くの人の期待よりも小幅な鈍化にとどまるリスクがある」と指摘。「そうなれば、利下げへの熱意は後退しかねない」と付け加えた。

ここ数日、激しい物価上昇圧力の時代が終わりを告げつつあるとの見方から、市場には高揚感に近い雰囲気が漂っている。22日発表の4月の英インフレ率は2.1%と、前月の3.2%から鈍化し、イングランド銀行(英中央銀行)の目標にあと一歩の水準になると見込まれている。

ただ、予想を上回る高い数字が出れば、英中銀が6月にも利下げに踏み切るという最近の市場の観測は後退する可能性があり、世界の投資家が先走り過ぎていたかどうか疑問が生じる。

現在、英国の短期金融市場のプライシングでは、6月に0.25ポイント利下げの確率は50%で、年内に計2回の利下げの可能性が示唆されている。米国では、9月利下げ確率は75%とトレーダーは受け止めている。欧州では、6月利下げはほぼ確実とスワップ市場では織り込まれている。