埼玉県内社長の平均年齢64・1歳、約6割が異なる姓への事業承継 さいたま経済ウォッチ

AI要約

全国社長の平均年齢が上昇し、埼玉県内の社長もやや高い結果となった。高齢化が進む中、事業承継の重要性が浮かび上がっている。

代表者交代の企業数が増加しており、若返りが実現している。高齢化への対応が中心になっている様子がうかがえる。

代表者交代による企業の姓の変更状況や外部招聘の可能性が広がっている。事業承継には十分な準備が必要とされている。

埼玉県内社長の平均年齢64・1歳、約6割が異なる姓への事業承継 さいたま経済ウォッチ

東京商工リサーチが今年1月に実施した「全国社長の年齢」調査では、令和5年の社長の平均年齢は63・7歳に伸びる結果となった。前年を0・7歳上回り、調査を開始した平成21年以降で最高を更新した。埼玉県内社長の平均年齢は64・1歳と全国平均よりもやや高い結果となった。また、70代以上の社長の構成比が年代別で最も多く、事業承継の遅れも浮き彫りになっている。代表者の高齢化が進み、スムーズな事業承継は経営上の重要課題の一つとなっているが、一方で次世代に事業承継を進めた企業も増えているようだ。

東京商工リサーチが保有する県内企業データ約6万5千社で、5年8月から6年7月に代表者交代が判明した企業を分析すると、交代企業は2374社(3・6%)だった。代表者が交代した企業は平成26年から令和元年の5年間で7826社だったが、元年から6年の5年間では9700社に増えており、代表者交代の時期に差し掛かっている企業が増加していることがわかる。

代表者の変更に伴う年齢の変化をみると、最多は20~30歳若返った企業が160社(構成比30・9%)と最も多く、次いで30~40歳の若返りが115社(同22・2%)と続く。全体では457社(同88・4%)で若返りが実現し、代表者交代により平均年齢は72・2歳から53・5歳と約18・7歳若返っており、代表者交代は高齢化への対応が中心となっている様子もうかがえる。

代表者の氏名のうち、姓の変更状況を分析すると、代表者の姓が変更した企業は1380社(構成比58・1%)で、同一性への代表者交代は994社(同41・9%)だった。同一性の代表者交代は、配偶者や子、子の配偶者など同族承継と推測されるが、6割近い企業が異なる姓への事業承継となっており、代表交代が一族だけではなくなり、同族外の役員や従業員、M&A等による外部招聘(しょうへい)などに選択肢が広がっていると予想される。

長年の代表者としての経験やノウハウが経営にプラスに働くこともあるが、高齢に差し掛かり、引退が迫る代表者は将来を見据えた投資や人員計画などに消極的にならざるを得ない。代表者交代には資産相続、税金、債務保証などの問題が絡むうえ、経営者としての

資質も必要であり、一朝一夕で決断できるものではない。スムーズな事業承継には十分な準備期間が必要であり、自身の年齢を視野に入れて、適切な交代時期を探ることも代表者の重要な役割となっている。(佐々木博司・東京商工リサーチ埼玉支店長)