進次郎氏出馬会見で重なった政治と国内経済の本質 日本に必要なのは「仲間意識」!

AI要約

知的レベルに関する質問がトレンド入りし、日本社会の問題が浮き彫りになった。

プレッシャーや他者への責任転嫁が社会全体に広まる中、ゼネラリスト人材の需要が増加している。

小泉氏の「最高のチームを作る」発言が、仲間意識の重要性を示唆している。

お金がない時代から協力して生活してきた人間にとって、お金の発明は他者との協力を容易にした。

現代社会における経済活動も、お互いに補い合い、チームを作ることが重要である。

進次郎氏出馬会見で重なった政治と国内経済の本質 日本に必要なのは「仲間意識」!

 物価高や円安、金利など、刻々と変わる私たちの経済環境。この連載では、お金に縛られすぎず、日々の暮らしの“味方”になれるような、経済の新たな“見方”を示します。 AERA 2024年9月23日号より。

*  *  *

 先日のX(旧ツイッター)で、「知的レベル」がトレンド入りしていた。ご覧になった人もいるだろう。小泉進次郎氏の自民党総裁選への出馬会見で、ある記者から質問が飛んだ。

「小泉さんが首相になって、G7サミット(主要7カ国首脳会議)に出席されたら知的レベルの低さで恥をかくのではないか。みなさん心配しております」

 この質問自体に、今の日本社会が抱える問題が凝縮されていると僕は感じた。

「恥をかく」わけにはいかないし、失敗するわけにはいかないというプレッシャー。そして、「みなさん心配しております」と他人に責任をなすりつける風潮。これは日本社会に蔓延する息苦しい空気そのものだ。

 会社で働いていると英語は話せなきゃいけないし、エクセルもチャットGPTも使いこなせないといけない。プレゼンスキルやマーケティング能力も磨かないといけない。

 なんでもできるゼネラリストを目指す人が最近は増えているという調査結果もあるが、会社もゼネラリスト人材を求めているのだろう。

 その記者の質問に対して小泉氏はこう返した。

「足りないところを補ってくれる最高のチームを作ります」

 これは、日本社会が抱える問題の答えを見事に言い表している。得意なことを自分がやって、不得意なことは周りの人に補ってもらえばいい。今の日本に必要なのは「仲間意識」なのではないだろうか。一見、経済とは関係ない話にうつるかもしれないが、これこそが経済なのだ。

 僕は中学校や高校などによばれて、金融や経済についての講演を行っている。そこで、まず話すのは「人は一人では生きていけない」ということだ。

 お金が存在しない時代、村の中でいくつもの家族が協力し合って暮らしていた。お金が発明されて、僕らの生活が便利になったのは、お金を支払うことで全く知らない人に協力してもらえるようになったからだ。