価格高騰の中、コメの先物商品「堂島コメ平均」誕生 生産者も期待【WBS】

AI要約

13日に登場した日本の主食、コメの価格をベースにした「堂島コメ平均」が注目される。

堂島取引所が新たな投資商品を開始し、コメ市場に変化をもたらす可能性がある。

堂島コメ平均は将来のコメ価格の参考値として期待され、農業経営の安定化に貢献する可能性がある。

価格高騰の中、コメの先物商品「堂島コメ平均」誕生 生産者も期待【WBS】

マーケットには日経平均株価やTOPIX、原油や金など様々な指数や投資商品がありますが、13日に新たに登場したのが日本の主食、コメの価格をベースにした「堂島コメ平均」です。コメ価格は今年高騰が続いていますが、堂島コメ平均の誕生で日本のコメ市場はどう変わるのでしょうか?

大阪市北区堂島浜の一角にあるコメ粒の形をしたオブジェ。江戸時代にできた堂島コメ市場の跡地です。その市場をルーツとするのが堂島取引所です。

将来のある時点の商品を事前に決めた価格で取引する先物取引。実は商品の先物取引は、大阪で世界に先駆けて始まったとされ、金や銀、トウモロコシ、小豆などの先物商品が扱われてきました。

そして13日、新たに取引が始まったのが、日本の主食コメの先物商品「堂島コメ平均」です。堂島コメ平均は、全国のコメの将来の平均価格を予想して投資家が売買することで価格が決まる新たな投資商品です。

「コメの先物はやはり悲願というか念願だった。この商品を大きく育てようとわれわれは思っているので、取引所としては持てる力を集中して取引を活発化したい」(堂島取引所の有我渉社長)

実は堂島取引所は過去にもコメの先物取引を行っていましたが、実際のコメの受け渡しを伴うものだったため、取引の参加者が広がらずに終了。今回はコメの受け渡しはせず、100を超える品種のコメ価格から算出する指数を使った投資商品に変更。幅広い投資家を呼び込みたい考えです。

「今回は個別の銘柄と違って、日本全国のコメの平均値をベースにする商品。今まで分散していた参加者が集中する効果がある。取引の活発化が進む」(有我社長)

歴史的な高騰が続く今年のコメ。堂島コメ平均は、コメ作りの現場にも影響を与えそうです。新潟で43年続くコメ農家の坪谷利之さんは「期待している。コメの価格が決まるのは早いに越したことない」と期待を寄せます。

現在、コメの取引価格は農協が示す「概算金」によって決まることが主流です。ただ、概算金は収穫直前に決まるため、先の売り上げの見通しが立たず、経営の課題となっていたといいます。堂島コメ平均は将来のコメの価格の参考値になる役割も期待されています。

「その価格で販売して、生活できる。他産業並みの所得を得るにはどうすれば良いかという設計ができる。目安があれば頑張れる。目安の一つが先物の価格」(コメ農家の坪谷利之さん)

日本の主食コメ。堂島取引所は、堂島コメ平均の誕生をコメ農家の減少などといった問題の解決にもつなげたいといいます。

「コメの値段がこのぐらいであれば、先物でこのぐらいの値段で売れるなら農業やろうかなとか、あるいは拡張拡大してみようかなと。ぜひ先物で経営の安定化を図り、儲かる農業を目指してもらう」(有我社長)

大手ではSBI証券などが取り扱いを始める堂島コメ平均。今後投資家に広く普及するのでしょうか。

「日本では先物取引に少しハードルが高いと感じる人が多い。コメの先物についても様子を見るという向きがあるのでは」(「楽天証券経済研究所」コモディティアナリストの吉田哲氏)

一方、国内の取引が活発となった場合、海外からの投資も期待できるといいます。

「日本のコメの指標がどれかという議論は今後進んでいくと思うので、そのときに堂島コメ平均があると広まっていけば、日本だけではなく特にアジアにおいて注目を集めていく可能性があるのでは」(吉田哲氏)

また吉田氏によれば、投資マネーがコメに集まったとしても、消費者がスーパーで手に取るコメの価格に与える影響は当面は限定的だろうということでした。

※ワールドビジネスサテライト