「巨大ITの寡占に風穴開ける」 公取委・古谷一之委員長が講演

AI要約

公正取引委員会の古谷一之委員長が福岡市で行った講演において、巨大IT企業に対する新法「スマートフォン特定ソフトウエア競争促進法」の意義を強調し、監視体制強化を提案。

古谷氏はビッグテックの寡占状況に風穴を開け、消費者の選択肢を拡大したいとコメント。監視体制の強化とデジタル分野の専門人材リクルートが必要とのこと。

さらに、岸田政権の成長と分配の好循環実現には価格転嫁の円滑化が重要であり、人口減少下で競争の保持が成長の鍵であるとの見解を述べた。

「巨大ITの寡占に風穴開ける」 公取委・古谷一之委員長が講演

 公正取引委員会の古谷(ふるや)一之委員長が6日、福岡市であった「毎日・世論フォーラム」(毎日新聞社主催)で「競争政策の新展開」と題して講演した。古谷氏は6月に成立した、巨大IT企業によるスマートフォン向けアプリ市場の独占を規制する新法「スマートフォン特定ソフトウエア競争促進法」(スマホ新法)の意義を強調。グーグルやアップルなど巨大IT企業への監視体制を強化する考えを示した。

 スマホ新法について、古谷氏は「ビッグテック(巨大IT企業)の寡占状況に少しでも風穴を開け、消費者の選択肢の拡大につなげたい」と説明。巨大IT企業の監視強化には「それなりの体制を整備しなくてはならない。デジタル分野の専門人材をリクルートし、我々の戦力になってもらいたい」と述べ、担当職員を現在の14人から増員する方針を述べた。

 また、岸田文雄政権が掲げる「成長と分配の好循環」の実現には、人件費や原材料費などの上昇分を価格に転嫁する「価格転嫁」を円滑に進めることが重要と指摘。「賃上げが物価上昇に追い付き始めた今の状況は、これまでの30年間のデフレ下でのコストカット型経済とは異なる成長型の新しい経済ステージに移行しつつあり、潮目が変わる可能性が見えてきた」との見解を示した。

 更に、人口減少が進む中で社会の活力を保つには、公正で自由な競争の確保が不可欠だとした上で「競争なくして成長なしだ」と力を込めた。【城島勇人】