【迷走する大阪・関西万博】会場の玄関口「夢洲」、鉄道延伸計画も持ち上がる中で浮き彫りになってきた“不安”

AI要約

2025年4月~10月に開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、夢洲を会場として利用するための鉄道アクセス整備が急ピッチで進められている。

万博会場への輸送を担う大阪メトロ中央線の夢洲駅までの延伸計画が前倒しされ、1日22.7万人の来場者が鉄道を利用することが予測されている。

しかし、万博に関してはアクセス整備以外にもパビリオン建設の進捗や安全面の問題などに対する懸念も強く残っている。

 2025年4月~10月まで、日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催が予定されている。会場となる夢洲(ゆめしま)は大阪市此花区の大阪港に浮かぶ人工島で、長年にわたってゴミの最終処分場として活用されてきた埋立地だ。そのため、それまで一般人が立ち入ることはできず、夢洲への公共交通は整備されていなかった。万博開催を機に、夢洲までの鉄道アクセスが整備されるが、それらを巡る新たな問題も浮き彫りになっている。万博会場への輸送を担う鉄道整備計画について、フリーライターの小川裕夫氏が解説する。

■ 万博期間中に見込まれる鉄道利用来場者数は「1日22.7万人」

 大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は、2025年3月末に予定していた中央線の夢洲駅までの延伸開業を1月末に前倒しすると発表した。夢洲は2025年4月~10月までの約半年間にわたって日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場地に予定されており、現在は急ピッチでパビリオン建設が進められている。

 万博を巡っては、パビリオンの出展数が少ない、建設が追いついていないといった問題が指摘されているほか、会場内に建設される木製リングの総工費が300億円と高額なことに強い反発があった。また、大阪城再建で不使用のまま各地に放置されていた石垣用の石(通称:残念石)を再活用することに対しても疑問の声が上がった。

 2024年3月には会場予定地でガス爆発事故が発生。大阪府は府内小中学校の生徒に対して無料招待の事業に取り組んでいるが、これらの事故を受けて安全面が確保できないとの不安も高まっている。

 それでも万博協会は期間中、鉄道を利用して来場する人が1日22.7万人に上ると試算。これだけの大人数を輸送するとあって、交通アクセスの整備・確保も急がれてきた。

 夢洲までは複数のアクセス手段があるが、その基軸になるのは大阪メトロ中央線に乗って夢洲駅を利用する方法だろう。だが、夢洲駅も2018年の計画発表時から迷走に迷走を重ねた。