40代以上男性を狙ったサントリー「ヴァロン」、店舗販売ナシでも売り上げ急進のわけ

AI要約

サントリーウエルネスが手掛けた男性向けスキンケア「VARON」シリーズが大ヒットし、高価格帯のオンライン販売に成功。

40代以上の男性向けのスキンケア商品である「VARON」は、シンプルで効果的な3ステップアプローチを採用し、顧客ニーズに応えた。

製品開発にはサントリーグループの研究成果を活かし、特殊な成分を使用してニーズに合った商品を提供。

40代以上男性を狙ったサントリー「ヴァロン」、店舗販売ナシでも売り上げ急進のわけ

飲料大手のサントリー子会社・サントリーウエルネスが手掛けた男性向けスキンケアが好調だ。

2022年に発売した「VARON(ヴァロン)」シリーズは、1年目で10億円、2年目は年間30億円超を売り上げた。

富士経済「化粧品マーケティング便覧2024No.2」によると、2023年のメンズ整肌料市場の「保湿ケア」カテゴリで、主力商品「ヴァロン オールインワンセラム」は、老舗メーカーを抜いて売上高トップに躍り出た。

ヴァロンは、同社として初めて開発した男性用化粧品で、元々化粧品のメーカーとしての認知があったわけではない。

しかも「ヴァロン オールインワンセラム」は、120mlで税込み8250円という高価格帯なうえ、店頭での販売は基本的にはせず、オンライン販売に特化する独自の戦略をとった。

短期間でユーザーからの支持を獲得した理由を探った。

「ミドルシニアの方に向けたスキンケア商品自体もあまり市場になく、お客様の言葉としても『自分たち向けの商品ってないよね』という言葉も多かった」

ヴァロンを担当するサントリーウエルネス スキンケア事業部の西山雅大さんは、同社がメンズスキンケアを開発するに至った理由についてこう説明する。

同社は通販で健康食品や「セサミン」などのサプリメントを中心に扱う、いわゆるD2Cのビジネスを展開するサントリーの子会社だ。年間売上規模は約1300億円。顧客は40代以上のミドルシニア層が多い。

商品開発のために実施していた顧客インタビューで浮かび上がってきたのが、スキンケアに対する需要だった。

「我々の顧客は『ずっと生き生きと若々しく豊かに生きていきたい』という思いの方が多いのですが、調査では年齢とともに見た目の印象が変わることで自信が持てなくなってきた──という声がありました」(西山さん)

こうした声をすくいあげ、ヴァロンは40歳以上のスキンケア未経験の男性をターゲットに開発した。

男性向けのメイク・スキンケア商品は近年増えてきているとはいえ、多くは20~30代向けだ。

40代以上はそもそもスキンケア未経験者が多い。そこでヴァロンは、化粧水、美容液、クリームの3ステップが一本で完結する「オールインワン」にこだわった。

「ターゲットはスキンケア未経験のミドルシニアの方たちなので、あまり複雑なことはしていただきたくない。本当にシンプルで、心地よい使用感が得られるというところを目指した」(西山さん)

商品の中身の開発にあたっては、サントリーグループの長年の研究成果が生きた。成分には独自開発の「ウイスキー樽材エキス」や「ウーロン茶エキス」などを配合している。それぞれ肌荒れを防ぐ効果やニオイ物質の吸着性能があるという。

「ウイスキー樽材エキスは、2000年ごろから開発可能性を探るプロジェクトがあり、 2010年代には完成していた成分でした。これが商品化をせずにずっと眠っていた」(西山さん)