「ニュース番組でスポンサーの商品宣伝」という無節操、広告欲しさに「正気」を失っているテレビ局

AI要約

最近の民放の地上波テレビでは、番組内で食品会社などの新商品やキャンペーンを取り上げる場面が増えており、それが広告収入を増やすための手段として過度なものになりつつある。特にニュース番組でも宣伝まがいの場面が見られるようになり、公正性や中立性が問われる状況になっている。

地上波テレビの視聴率は徐々に下がっており、放送業界全体の収益が減少していることが背景にある。過去のデータによると、ゴールデンタイムの視聴率が低下しており、民放各局は広告収入の獲得に苦しんでいる。

また、番組内で商品の宣伝が過剰に行われていることも問題視されており、視聴者に提供される情報が客観性を欠いているとの指摘がある。

 最近の民放の地上波テレビでは、番組の中で食品会社などの新商品やキャンペーンを取り上げる場面をよく見かける。バラエティー番組やワイドショーでは今に始まったことではないが、ついには特に「公正・中立」が求められるはずのニュース番組でも、そうした宣伝まがいの場面が散見されるようになった。

 なんとかして広告収入を上げたいという事情があるにしても、越えてはいけない一線を越えているのではないか。「視聴者に有益な情報を提供している」という理屈はあるのだろうが、それはあまりにご都合主義だろう。

 (岡部 隆明:就職コンサルタント、元テレビ朝日人事部長)

■ 減退が続く地上波テレビのパワー

 毎週水曜日の読売新聞朝刊に「週間視聴率ベスト20(ビデオリサーチ社調べ)」が掲載されます。定点観測をしていると、少しずつ数字が下がってきていることに気づきます。

 その変化を実感するのは、20位の番組の数字です。2年くらい前まではおおむね10%以上を維持していましたが、このところ9%台に落ち込むことがほとんどです。ちなみに、7月10日に掲載された「7月1日~7日のベスト20」の20位を見ると、NHK「あさイチ」で、9.4%でした。

 20位の番組が9%台ということは、大多数が2ケタに達していないことになります。地上波テレビのパワーが減退している表れですが、それを端的に示すデータがあります。

 2023年度の年間平均「世帯視聴率」<ゴールデンタイム(19~22時)>

第1位:テレビ朝日 8.9%(前年度比▲0.6%)

ビデオリサーチ社調べ

 テレビがよく視聴される時間帯である「ゴールデンタイム」で、1位が8%台というのは往時を知る一人として寂しいことです。さかのぼってみると、2006年度の「ゴールデンタイム」の1位はフジテレビの「14.1%」でした。数字だけで語るのは一面的ですが、地上波テレビのパワーが約6割になったことを示しています。

 民放各局としては、広告収入の減収を食い止め、反転させることが共通の課題です。とは言っても、簡単に視聴率が跳ね上がるものでもありません。そうした背景から、由々しき状態になっていると感じていることがあります。

 それは、CMではなく番組の本編で「明らかに商品の宣伝だろう」と思われる場面に出くわすことが非常に多くなったことです。