ニッポンのための“超特別”な新型レンジローバーが登場! 3000万円オーバーの超高級SUVに迫る

AI要約

レンジローバーが日本の顧客向けに手がけた特別仕様車は、日本限定の2つのモデルが発表された。

限定5台のSVビスポーク・バルモラル・エディションと限定4台のSVビスポーク1858エディションは、環境に配慮した素材を使用し、日本の文化を取り入れたデザインが特徴。

そして、レストラン「nôl」による特別料理の提供やアート展示など、多彩な体験が楽しめるレンジローバーハウスでの発表会が開催された。

ニッポンのための“超特別”な新型レンジローバーが登場! 3000万円オーバーの超高級SUVに迫る

レンジローバーが日本の顧客向けに手がけた、特別仕様車が出た。はたして、合計9台のみの超スペシャルなふたつのモデルとは? 小川フミオがリポートする。

レンジローバーが日本で大変おもしろいことを始めた。名付けて「レンジローバーハウス」。2024年6月13日から16日にかけて開かれたのは、二度と手に入らない限定車両の紹介と、ミシュランの星付きシェフによる特別料理のふるまいだった。

レンジローバーハウスは、レンジローバーにおいてもチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるプロフェッサー・ジェリー・マクガバンOBEの指揮のもと、“レンジローバーが目指すモダンでサステナブルなラグジュアリーとデザインリーダーシップを体験する場”として、2022年より、世界20カ国以上で開催している招待制のイベントだ。

「おおいに好評を博してきたもので、日本でも、という運びになりました」

日本法人でマーケティングと広報のディレクターを務める英国人・マシュー・スリースはそう説明した。日本で初のレンジローバーハウスは、東京・中目黒。ここで特別な内外装を持った2台の限定仕様車が初公開され、受注もおこなった。

発表されたのは、日本限定の特別仕様車2モデル。具体的にはレンジローバーSVビスポーク・バルモラル・エディションとレンジローバーSVビスポーク1858エディションだ。

レンジローバーSVビスポーク・バルモラル・エディションは限定5台の標準ホイールベース(SWB)モデル。車名の由来は、スコットランド・アバディーンシャーにある英国王室が所有するバルモラル城からという。

車体色は、1980年代に販売していていまも人気の高い4ドアのクラシック・レンジローバーに使われていたもの。とりわけ、故エジンバラ公が乗っていて、前のエジンバラ侯爵(現在のエジンバラ侯爵はエドワード王子)が乗っていた「OXR1」ナンバーの車両の車体色を現代風に再解釈したものだそう。

「ルーフとミラーカバー、アルミホイールインサートにビスポークグレイを組み合わせ、華美になり過ぎない控えめな個性を表現しました」とはレンジローバーの言。インテリアには「質感が良く、(いっぽう)製造工程においてレザーよりもCO2排出量の少ないウルトラファブリックを採用した」と、説明される。

レンジローバーSVビスポーク1858エディションは、ロングホイールベースモデルがベースで、限定なんと4台。車名にある数字は、日英修好通商条約が両国間で締結され、外交関係が築かれた1858年にちなんだものだそう。

車両の仕上げは、「日本文化からインスピレーションを得てデザインした」と、レンジローバーは言う。室町時代の墨絵に着想を得て、内外装ともにモノトーンでまとめられていて、たとえば車体色の「ビスポークライトグレイ」は墨絵のぼかし技法を表現するため、限りなくホワイトに近い色として開発したそうだ。

ふたつのモデルに共通するのは、ラグジュアリーを追求しながら、環境にも配慮した素材を選択していること。日本で企画して、英国本社のデザインディレクターが最終的に承認したというだけあって、完成度は高く、レンジローバーに新しい魅力をつけ加えている印象なのだ。

レンジローバーでは、シートの肩の部分に刺繍を施して、デザインにおける独自の世界観を上手に表現しているのがひとつの特徴になっている。今回の限定モデルでは、そこを「着物の柄を参考にした模様にしました」と、スリース。

もうひとつ、レンジローバー SVビスポーク 1858 エディションでたいへん特徴的なのが、シートのカラーを前席と後席とで変えている点。前席は濃いめのグレー(シンダーグレイ)が主体で、後席はグレーでも色合いがやや明るめ(ライトクラウド)というユニークでたいへんすばらしい選択だ。

452kWの最高出力と750Nmの最大トルクを誇る4.4リッターV8エンジンと全輪駆動システム、さらに後輪操舵による高い操縦性を楽しもうというひとのための前席と、もてなしを受けるひとのための後席。機能を色で分けているようなアイディアがうまく昇華されているかんじだ。

さらに、レンジローバーハウスでは、外板色をはじめ、シート地、ダッシュボード、カーペット、さらにはボンネットのロゴにいたるまで、カスタム化のためのサンプルを展示。自分だけの世界観を表現したいという贅沢な顧客のための、一時的なショールームとしても機能していた。

東京のレンジローバーハウスでは、加えて、特別な食体験というもてなしがなされた。東京・中央区の馬喰町にあるレストラン「nôl」を招聘し、ゲストにフルコースを提供。

「野田達也シェフひきいるnôlは、ミシュラン東京一つ星獲得店であり、さらに(持続可能なガストロノミーに対し積極的に活動するレストランとして)グリーンスターもと高い評価を受けており、レンジローバーハウスに招いたのは、もうひとつ、コンセプトのすばらしさに共感し、それをゲストの方々とシェアしたかったからです」(スリース)

フランスでのレストラン勤務などの経験を持つ野田シェフの料理の特徴は“循環型”などとされる。廃棄されがちな野菜の端材を使った「ゴミのスープ」や、キャビアをとったあと肉が捨てられてしまう宮崎産のチョウザメなどを積極的に使いコースを構成する。

食べてみると、美味はあらゆるところで、発見されるのを待っているのだという思いを強くする。つまり、初めて体験するおいしさがコースとして次々に登場する。なんとも嬉しい驚きの連続だ。

食材自体が厳選されているうえに、調理方法が的確。野菜スープの複雑でかつ押しつけがましくない味わいや、ポシェ(ゆっくりと煮込んだ)したチョウザメの肉の淡い味が、品のいい塩味の日本産キャビアとじつによく合っていた。

日本の食材を使い、脂の使用などを抑え、かつ、食材の廃棄を少なくするという世界的な課題とも向き合っている。レンジローバーハウスは、たいへんいいシェフとのコラボレーションを実現したと、おそらく体験した人はみな、思ったのではないだろうか。

さらに、「GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE」という銀座のギャラリーが、若手のアーティストの作品を持ち込んだ。これもかなりよかった。柏木崇吾の「ある閉ざされた『一瞬』のうちに」は、採取した石にコケを生やした作品。

「人間社会と自然の共生を探求するバイオアートの文脈で作られた作品」と、ギャラリーでは説明している。言うまでもなく、クルマ(レンジローバー)と人との、あらまほしき関係も連想させるのだった。

ベルリンにもアトリエを持つ手塚愛子の「閉じたり開いたり そして勇気について(拗れ)」は、ジャガード織りを使った作品で、今回のレンジローバーハウスの主題のように、江戸時代からの英国と日本の歴史を織り込みつつ、ちょっとコミカルな現代的モチーフをちりばめている。こちらも、今回のレンジローバーハウスの主題に即したコンセプチュアルな選択と感心。

「レンジローバーでは、これまでも日光や長野などで、顧客の方々に、特別なドライブ体験や宿泊体験を味わっていただいた実績を持っています。レンジローバーがグローバル規模で推進しているレンジローバーハウスは、出来れば来年もどこかいい場所を選んで開催し、さらにそのコンセプトを突き詰めて、顧客の方々に喜んでいただきたいと考えています」(広報マネージャーの加藤理恵子)

今回、発表されたレンジローバーSVビスポーク・バルモラル・エディションはレンジローバーSV P615 SWBがベースで、価格は¥38,660,000。レンジローバーSVビスポーク1858エディションはレンジローバーSV P615 LWB」がもとになり、¥48,500,000。

2024年6月20日より、全国のジャガー・ランドローバー・ジャパン正規販売ディーラーネットワークにて受注開始。ただし、レンジローバーハウスのゲストから、はやくも数台ぶんの予約が入ったとか。レンジローバーの世界観が富裕層に評価されていることの、なによりの証明だ。