ヤマダデンキも抜かれる? 西武池袋を手にした「ヨドバシカメラ」が業界敵なしの理由

AI要約

2024年6月、西武池袋本店にヨドバシカメラの新業態「Yodobloom(ヨドブルーム)」がオープンすると発表された。この新業態は体験型ショールームであり、美容関連のサービスを提供する斬新な店舗だ。

ヨドブルームでは、プロのエステティシャンや美容師、メイクアップアーティストによる無料の体験サービスが提供される。これは、広告効果と話題づくりを目的としたリテールメディアの一環である。

ヨドブルームは、コンセプトとして広告効果を重視し、出展メーカーの商品を体験した消費者がSNSなどで拡散することを期待している。最初の1Fフロアがコスメ関連ということから、池袋西武の今後の方向性が示唆されている。

ヤマダデンキも抜かれる? 西武池袋を手にした「ヨドバシカメラ」が業界敵なしの理由

 2024年6月、西武池袋本店にヨドバシカメラの新業態「Yodobloom(ヨドブルーム)」がオープンすると発表された。西武池袋と言えば、もともとセブン&アイHD傘下の「そごう・西武」の旗艦店であった。しかし、経営不振を理由に米投資ファンドへと売却され、ファンドのパートナーであるヨドバシが持ち主となった。その後、ヨドバシが西武池袋をどう変えていくのか、特に玄関口となる1Fフロアをどうするのかに注目が集まっていたが、今回、この場所に“リテールメディアショップ”という聞きなれない新業態のオープンが発表されたわけだ。新業態「ヨドブルーム」の実力と、出店に隠されたヨドバシの本当の狙いを探る。

 ヨドブルームとは、ざっくり言えば、モノを売る店舗ではなく、最新鋭の体験型ショールームのようなものだ。具体的には、以下のようなサービスが無料で体験できるという画期的な場所であり、その話題性も高い。

■ヨドブルーム提供サービスの一例

・(1)プロのエステティシャンが、美容家電やスキンケア商品を使った体験サービスを提供

・(2)美容師が、サロンブランドを中心としたラインナップからシャンプーやトリートメントの体験サービスを提供

・(3)プロのメイクアップアーティストが、サロンブランドやアジアブランドの化粧品を使ってメイクアップ体験を提供

 無料で体験可能という形態をとっているのにはカラクリがある。ヨドブルームは、出展メーカーの発信、広告宣伝の起点としての場所という位置付けであり、ここで体験した消費者がネット上で商品について拡散してくれることなどを期待しているため、無料という形態をとっているわけだ。

 これが、“リテールメディア”という業態の意味であり、ショップ側としてのヨドブルームは、広告効果ある場所の提供と引き換えにコスト負担なく、話題づくりと集客につなげるといった構造と解釈すればいいのだろう。そんなコスメ新業態を1階の顔としたことからは、「池袋西武が家電量販店化するわけではない」という意思表示が感じられる。