シンガポールGIC、運用利回りが4年ぶりの低い伸び

AI要約

シンガポール政府系ファンドGICが年次報告書を発表。2021年度の実質運用利回りは年3.9%で4年ぶりの低水準。

GICは利回り低下の原因を04年度の高い利回りからの外れと説明。将来の投資収益について限定的な見通し。

米国に投資機会がありつつも、政策の影響に注意が必要。運用資産内で米国比率が上昇し、日本とアジアは低下。

シンガポールGIC、運用利回りが4年ぶりの低い伸び

Yantoultra Ngui

[シンガポール 24日 ロイター] - シンガポールの政府系ファンドGICが24日発表した年次報告書によると、今年3月末までの年度の実質運用利回り(直近20年ベース)は年3.9%と前年度の4.6%を下回り、2020年度(2.7%)以来4年ぶりの低い伸びにとどまった。

GICは利回り下振れについて、直近20年の対象期間から04年度が外れたことが原因だと説明した。04年度は、株式がITバブル崩壊からの急激な戻り相場となり、運用成績を押し上げた。

ただGICは、より高い金利水準がより長く続いていることや、中国の不動産不況に伴うマクロ経済の逆風、地政学的緊張の高まりなどを挙げて、今後も投資収益は限定的になるとの見方を示した。

さらにとりわけ先進国で多くのリスク資産が割高化しているため、中期的な期待リターンはなお低く、リスク・リワードも悪化しているという。

一方リム・チョウ・キアット最高経営責任者(CEO)は米国についてロイターに、大統領選の結果にかかわらず投資機会があるとみているが、選挙結果が政策にどう反映されるか注視していく考えを表明。特に関税や通商規制は、世界経済の成長や物価情勢に影響すると付け加えた。

3月までの年度で運用資産全体に占める米国の比率は、前年度の38%から39%に上昇。英国とユーロ圏もそれぞれ4%から5%、9%から10%に上がった。

逆に日本は6%から4%に、日本以外のアジアは23%から22%に低下した。