不法侵入から破壊行為まで! 鉄道オタクの「迷惑行為」が全然なくならない構造的病理 SNS時代に再考する

AI要約

鉄道オタクによる非常識な行動が続出しており、私有地への不法侵入や破壊行為、権利侵害などが報告されている。

例えば、JR西日本の特急「やくも」引退に際し、撮影目的で禁止区域に侵入する者が続出したり、銚子電鉄ではキロポストが抜き取られるなどの迷惑行為が目立っている。

さらに、運行終了したトロッコ列車では高額転売や違法駐車問題が起き、新聞やSNSでの報道も増えている。

不法侵入から破壊行為まで! 鉄道オタクの「迷惑行為」が全然なくならない構造的病理 SNS時代に再考する

 一部の鉄道オタクによる非常識な行動が絶えず報告されている。私有地への不法侵入から一般乗客の権利侵害、さらには破壊行為まで、その範囲は多岐にわたる。

 JR西日本の特急「やくも」の引退を控えた2024年前半には、列車を撮影するために多くの“撮り鉄”が集まり、見通しのよい撮影スポットを確保するために立ち入り禁止区域に侵入する者が続出した。また、私有地に無断で立ち入ったり、危険な場所で無理やり撮影したりするケースも報告されている。

 全国の鉄道オタクに人気の銚子電鉄でも迷惑行為は後を絶たない。写真の見栄えを気にしてか、「キロポスト(距離標)」が抜き取られる例さえある。2024年2月上旬に新型車両が到着すると、試運転に関する問い合わせが相次いだ。同社は試運転に関する情報を伏せているが、それに対して脅迫まがいの電話がかかってきたこともあるという。

 また、2023年11月に運行を終了したJR西日本木次(きすき)線のトロッコ列車「奥出雲おろち号」では、ラストランを前に

・チケットの高額転売

・撮影目的の違法駐車

が問題となった。6月には、埼玉県の大宮車両所で予定されていた車両部品販売イベントが、大勢の鉄道オタクによる“列割り込み”で中止になった。

 新聞データベースを「鉄道ファン 迷惑」で検索すると(新聞上で「鉄道オタク」という表現は使われづらいため)、2023年以降

「53件」

がヒットした。新聞には掲載されなかったがSNSで拡散された事例も含めると、一部の鉄道オタクによる非常識な行為が

「数日おき」

に日本のどこかで繰り返されているといえるだろう。一見、単なる趣味の行き過ぎに見えるが、その背景には現代社会特有の

「アイデンティティー・ポリティクス」

の影響が見え隠れする。アイデンティティー・ポリティクスは、特定の社会的グループがその特性や経験に基づいて政治的に団結し、権利や平等を求めることを指す。これにより、抑圧されてきたグループの声が強まり、社会的な認識と変革が促進される。その一方で、

・分断

・過度の強調

を生み出すといった課題もある。このバランスを保ちながら、より公平で包摂的な社会を目指すことが重要だ。従来は

・ジェンダー

・人種

といった文脈で議論されてきたが、アイデンティティー・ポリティクスは今や趣味のコミュニティーにも及んでいる。