東京で全然見かけなくなった「シアトルズベストコーヒー」が、九州に今でもやたらと多いワケ

AI要約

福岡、長崎、佐賀を訪れた文化地理学者が、九州の再開発やシアトル系コーヒーチェーンについて感想を述べる。

シアトル発祥のコーヒーチェーンであるシアトルズベストコーヒーが九州に多く見られる理由について考察。

スターバックスコーヒーのシアトルズベストコーヒー買収やネスレへの売却について紹介。

東京で全然見かけなくなった「シアトルズベストコーヒー」が、九州に今でもやたらと多いワケ

 筆者(増淵敏之、文化地理学者)は先日、1年ぶりに九州を訪れる機会を得た。今回は福岡、長崎、佐賀だ。福岡では、JR博多駅前の「博多コネクティッド」や九州最大の繁華街・天神エリアの「天神ビッグバン」など、大規模な再開発が進んでおり、街の勢いを感じた。地下鉄七隈(ななくま)線が博多駅に直結し、交通インフラも便利になった。

 さて、JR博多駅構内を歩いていると、みどりの窓口の横にシアトルズベストコーヒーがあり、東京で新宿南口店に立ち寄った記憶がよみがえり、懐かしい気分になった。しかし、最近は東京ではほとんど見かけなくなった。新宿南口店も2015年に閉店した。とても気に入っていただけに残念だった。

 しかし、福岡では駅構内だけでなく、近くにはほかに2店舗あるらしい。これは小さな驚きだった。その後、長崎駅と佐賀駅の構内でも見かけた。なぜ、東京ではあまり見かけない同店が、なぜ九州に多いのだろうか。

 シアトルズベストコーヒーは、スターバックスコーヒーと並ぶシアトル発祥のコーヒーチェーンとして知られている。

 シアトルのピュージェット湾に浮かぶバション島に原点である最初の焙煎所を建てたのが始まりで、現在はここにショップがあり、ファンの“聖地”となっている。創業は1970年だ。

 後発のスターバックスコーヒーは、1971年にシアトルのパイクプレイスマーケットの一角にオープンし、この地が“聖地”である。1号店の限定タンブラーなど、記念グッズも数多く販売されている。

 2003年、スターバックスコーヒーは北米事業について、シアトルズベストコーヒーを買収した。 そして2022年、スイスの多国籍企業ネスレは、スターバックスコーヒーからシアトルズベストコーヒーを買収する計画を発表した。

 タリーズコーヒーも1992年にシアトルで誕生したため、これら三つのコーヒーチェーンは「シアトル系」と呼ばれる。