14年眠り続けた「16.5万円の日本酒」のナゾを求めて群馬の酒蔵へ。熟成酒のイメージが覆った!

AI要約

SAKE HUNDREDが高価な熟成酒「礼比」を発売し、その製法や価格に注目が集まる。

SAKE HUNDREDは醸造パートナーを吟味しているスタートアップであり、今回の「礼比」の醸造は永井酒造が担当している。

永井氏は熟成酒の研究に力を入れており、その背景や動機についても語っている。

14年眠り続けた「16.5万円の日本酒」のナゾを求めて群馬の酒蔵へ。熟成酒のイメージが覆った!

ラグジュアリー日本酒のパイオニアであるSAKE HUNDREDが、きわめて新奇性の高い熟成酒「礼比(らいひ)」を発売。同ブランドでは3万円台の銘柄が最も充実しているなか、500mlで16万5000円という価格にもインパクトがあります。

いったいどんな土地と製法で生み出され、どんな味わいなのか。酒蔵への取材から明らかにしていきます。

SAKE HUNDREDは“日本酒の未来をつくる”を掲げるスタートアップ、株式会社Clearによって2018年に誕生。代表は生駒龍史さんです。いまや累計納入は230店舗以上、世界8地域にまで拡大していますが、特徴のひとつが銘柄ごとに醸造パートナーを吟味して委託していること。

自社で酒蔵を持たない主な理由は3つ。1社だけではなく日本酒業界全体を盛り上げたいから、ラインナップにより多様性が生まれるから、設備投資費を分散できるから。そのうえで、SAKE HUNDREDの銘柄は“その道のスペシャリスト”な酒蔵がそれぞれを手掛けています。

今回の「礼比」は、世界初の瓶内二次発酵による発泡清酒「水芭蕉ピュア」など、業界でもスパークリング日本酒の名手として知られる群馬県の永井酒造が醸造。六代目蔵元の永井則吉(のりよし)さんは一般社団法人awa酒協会の初代理事長でもありますが、熟成酒の研究に関しても先駆者であり、一般社団法人刻SAKE協会(古酒や熟成酒の価値向上を目指す)発起人のひとりでもあります。

永井さんが日本酒熟成の研究を始めたのは1995年。大学卒業後、23歳のときに先輩が招待してくれたワイン会で、衝撃的な出会いがあったと振り返ります。

「『世界を目指す酒造りをしたいならワインについて知るべきだ』とお誘いいただいて飲んだのが、ロマネ・コンティ(超高級ワインの代名詞といわれる)の『モンラッシェ 1988年』です。この力強さ、しなやかさとエレガントさはなんなんだ。この差を埋めない限り、日本酒は絶対この価値にならないと痛感しましたね。同時に、熟成酒の魅力に開眼しました。でも親には『熟成させるお金なんてないでしょ』と猛反対されたので、蔵のお酒を自ら買い取って研究を始めたんです」(永井さん)