【夫婦で備える「死後の手続き」】相続をスムーズに進める「財産目録作成」と「遺言執行者選定」 プロに任せる「死後事務委任契約」も選択肢に

AI要約

夫婦が元気なうちに相続の準備をする重要性。財産目録の作成と遺言書作成の必要性。

たすき掛け遺言の利点と遺言執行者の重要性。遺言書の法務局への預け方。

遺言書の預け方や手続きの簡単さ。遺言書の預けるべき理由。

【夫婦で備える「死後の手続き」】相続をスムーズに進める「財産目録作成」と「遺言執行者選定」 プロに任せる「死後事務委任契約」も選択肢に

 夫婦どちらかが先に逝った時、遺された側がまず直面するのが押し寄せる「死後の手続き」である。なかでも相続で揉めるケースは少なくない。だからこそ、元気なうちに夫婦の間で話し合いをして、できる準備はしておいたほうがいい。

 相続を見据えて夫婦で確実に済ませておきたいのが「財産目録」の作成だ。司法書士行政書士MY法務事務所代表で司法書士の村田洋介氏が言う。

「配偶者の所有財産を把握していないと死後に困るので、まずは夫婦で財産を洗い出しましょう。財産目録の作成では、預貯金や保険、不動産などプラスの財産に加えて、ローンや借金など『マイナスの財産』もすべて書き出すのがポイント。ネット銀行やネット証券口座などのIDやパスワードも紙に書き、いつでもわかるようにしておくのが重要です」

 財産目録の作成後、相続で揉めないように遺言書を作成する。その際、夫婦がそれぞれ配偶者に遺言書を書き合う「たすき掛け遺言」にすると便利だ。

「たすき掛け遺言にしておけば、夫婦のどちらかが急に亡くなっても、法定相続人とのトラブルを回避できます」(同前)

 このたすき掛け遺言書のなかで必ず記載しておくべきなのが、「遺言執行者」の選定だと村田氏は強調する。

「遺言執行者は法律上、遺言書の執行に必要な一切の権利や義務を持ちます。これが明記されていない遺言書だと、金融機関などで相続の手続きに応じてもらえないケースがある。新たに遺言執行者を決める場合は家裁で選任申し立て手続きを行なうことになり、用意する書類も複数になる。余計な手続きが増えることになるので、遺言書に記載しておくべきです」

 遺言書は自宅で保管せず、法務局に預けるのが良い。司法書士法人東京さくら代表で司法書士の三浦美樹氏が言う。

「これまで自筆の遺言書を自宅で保管して紛失するケースがありましたが、2020年7月から法務局で自筆の遺言書を保管できるようになりました。法務局に預ければ改ざんや紛失の恐れがないうえ、死亡した時に遺言書の存在を伝える人物を3人まで決められる。死亡届と連動して必ず連絡が行くうえ、遺言書の検認も不要になります。預けない手はありません」

 手続きは、法務局の窓口で申請書を受け取り、自筆の遺言書と本籍地記載の住民票、本人確認書類とともに3900円の手数料を提出するだけ。