PayPay証社長、今期末200万口座に倍増へ-主戦場は金融経済圏

AI要約

ペイペイ証券は、口座数を200万口座に拡大する計画を発表。投資初心者の口座開設が加速しており、ポイント運用を通じて顧客を取り込む取り組みを強化している。

ペイペイ証券は赤字が続いており、数年内に黒字化を目指している。200万口座への拡大を通じて利益を積み上げる取り組みを進めている。

他社との差別化を図るため、グループ内の経済圏を活用したり、新しいサービス展開に注力している。

PayPay証社長、今期末200万口座に倍増へ-主戦場は金融経済圏

(ブルームバーグ): PayPay(ペイペイ)証券の番所健児社長は、今期(2025年3月)末に前期末比で約2倍となる200万口座への拡大に意欲を示した。ソフトバンク子会社が展開する決済アプリ「PayPay」利用者に対して、同アプリ上からより容易に証券口座を開設できるようにするなどして顧客の取り込みを強化する。

番所社長はインタビューで、スマホ専業である同証の強みは普段の買い物などで利用する決済アプリのペイペイ上で証券取引ができる利便性だと指摘。「リテール金融は金融経済圏での戦いに変わってきている」とし、スマホ決済市場で約7割のシェアを誇るプラットフォームを生かして顧客基盤の拡大につなげたい考えだ。

1月から始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)をきっかけに投資初心者の口座開設は加速している。ペイペイポイントで株式運用の疑似体験ができる「ポイント運用」の利用者は現在約1700万人。ポイント運用の体験者が実際に証券口座を開設する際の簡易性を向上させ、潜在顧客の取り込みを図る。

今年3月末の口座数は107万7000口座と1年前と比べて倍増した。口座数拡大とそれに伴う顧客資産の積み上げは同証券にとって重要課題でもある。開示資料によると、ペイペイ証の23年3月期の純損益は46億円の損失。21年2月に同証として発足以来、赤字が続いており、数年内の黒字化を目指している。

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の伴英康アナリストは、200万口座への拡大について「通過点の一つである印象。グループやエコシステムの顧客にリーチできるという優位性を生かして、今後もかなりのペースで伸び続けるのではないか」とみる。一方、「一人当たりの投資は少額のため、ブレイクイーブン(損益均衡)までには時間がかかる」と指摘。「将来的には口座当たりの預かり資産を伸ばし、利益を積み上げていくことが重要」と述べた。

ポイントなどでグループ内の「経済圏」を連携させて、顧客を呼び込もうとする動きは加速している。マネックス証券は「dポイント」を展開するNTTドコモの子会社となった。今秋めどにdポイントを利用して投資信託を購入できるサービス開始を予定している。