中国製EVへの関税で「価格上昇」も? スマート(Smart) EVの欧州生産を検討 

AI要約

スマートは欧州でのEV生産を検討し、追加関税による価格上昇も懸念している。

関税の恒久化により価格上昇の可能性があるため、未来の決定に影響を与える可能性がある。

消費者のEVに対する消極的な姿勢と政府の政策変更についても言及されている。

中国製EVへの関税で「価格上昇」も? スマート(Smart) EVの欧州生産を検討 

スマート(Smart)は、世界的な事業拡大を進める中で、欧州でEVの生産を開始する可能性がある。7月5日に欧州で適用された追加関税による価格上昇も懸念している。

今年初め、スマートはフランスでの「フォーツー」の生産を終了し、現在は中国の西安で全車種を生産している。しかし、世界各地に輸出するコストが増加していることから、需要に応えるために中国以外での現地生産を検討し始めた。

スマートはメルセデス・ベンツと吉利汽車の共同所有である。この構造がグローバル事業に有利に働くと、欧州事業トップのディルク・アデルマン氏は言う。

「ドイツの親会社は基本的に世界各地で生産していますが、吉利汽車は他の子会社とともに欧州や世界の他の地域でも生産しています」

現地生産については「コスト構造が既存のものと同等であれば、良いアイデアです」とし、グローバルに事業展開する中で「少なくとも生産拠点の分散を考える必要がありますが、まだ何も決まっていません」と述べた。

輸出コストの削減はもちろんのこと、欧州で生産することで、欧州連合(EU)がスマートの中国製EVに課している19.9%の輸入関税を回避することができる。ただし、アデルマン氏は「戦略的」な決定であり「欧州委員会の決定とは無関係」だと断言した。

同氏は、この追加関税は2024年11月2日の協議終了までは暫定的なものであり、以降の恒久的な措置が明らかにならない限り、スマートは最終的な決断をしないだろうと示唆した。

「この点に関しては、欧州委員会と中国との間でまだ多くのことが話し合われています。我々は現在、そして25年以上前からスマートのスタンスだと思いますが、保護主義が今日の問題に対する答えだとは考えていません。貿易戦争につながらない解決策が見つかることを心から信じ、願っています」

アデルマン氏は、関税が恒久化された場合、欧州での価格上昇につながる可能性があると指摘した。「関税が20%引き上げられれば、希望小売価格もほぼ同様に上昇することは想像に難くありません。現時点ではこれをお客様に転嫁するつもりはありませんが、関税が恒久的なものとして確定すれば、当然対応しなければなりません」

20%値上げしたとして、スマートは欧州での事業を続けられるだろうか? こう尋ねると、アデルマン氏は「それは大きな疑問です」と答えた。

「それは、競合他社の動向や、欧州の人々が再びICE(内燃エンジン)の方向に進むかどうかにかかっています」

「業界全体が関税を転嫁すれば、お客様が値上げを受け入れるか、BEVから離れていくかのどちらかになります。欧州にとっては最悪の事態です」

アデルマン氏によると、スマートは新世代EVの「#1」と「#3」を発売して以来、欧州で急成長を遂げ、5月の販売台数は前年同月比で増加し、#1はEV市場でトップ10に入ったという。

また、消費者がまだEVに対して「消極的」であると指摘し、その理由を「政府がエンドユーザーに対して、丁寧に言えば、複雑なシグナルを送っているため」とした。一例として、ドイツ政府は最近、EV購入優遇措置を廃止した。

スマートは現在2車種を販売しているが、来年半ばには3車種目となる大型SUV「#5」を発売予定で、成長軌道に乗っているという。