新紙幣対応の券売機、問い合わせ殺到 間に合わなかったコインパーキング業者、改修費ネックで見送る人気ラーメン店

AI要約

新紙幣の発行に伴い、券売機やコインパーキング業者が改修作業に追われている状況が続いている。

部品不足や高額な費用がネックとなり、改修が遅れているのが主な要因である。

キャッシュレス決済の普及もあり、ニーズの見極めが難しくなっている。

中小事業者にとって改修費用は大きな負担であり、部品交換やプログラム更新には数十万円から数百万円かかる。

一部の事業者は改修を先送りしており、旧紙幣を使い続けて対応している状況もある。

自動販売機やコインパーキング業者も新紙幣への対応に苦戦しており、一部の機械は対応が追いついていない状況が続いている。

キャッシュレス決済の普及に伴い、現金払いへの対応も検討されるようになっている。

新紙幣対応の券売機、問い合わせ殺到 間に合わなかったコインパーキング業者、改修費ネックで見送る人気ラーメン店

 新紙幣が発行されても、券売機の販売会社やコインパーキングの運営事業者が引き続き対応に追われている。精算機の部品不足や多額の費用がネックとなり、改修を一気に進められないためだ。過去の紙幣切り替えとは異なり、キャッシュレス決済の普及でニーズの見極めが難しい事情もある。

 券売機の販売・メンテナンスの和広商会(広島市東区)には、新紙幣の対応に関する問い合わせが殺到している。昨夏から飲食店を中心とする顧客に案内しても反応は少なかったが、改修などの月間の依頼は6月に約30件と、5月までの3倍に跳ね上がった。

 メーカーにも注文が集中する中、交換用の部品が届くのに2、3カ月かかる。買い替えの場合は半年待つことも。久保英範社長は「様子見の店も多いので、まだ改修の依頼が増えそうな気がする。新紙幣が流通する前に間に合うのだろうか」と気をもむ。

 中小事業者にとって改修費用は小さくない。和広商会によると、部品交換やプログラム更新は1台10万~20万円程度。新たに購入する場合は80万~250万円程度かかるという。

 広島市中区の人気店ラーメン店「中華そば陽気江波店」は券売機の改修を当面見送る。豚肉や麺などの仕入れ値も上がる中、運営するコトひろ(広島市中区)の原裕美社長は「改修でさらにお金がかかるので悩んでいる。前の紙幣が使えなくなるわけではないし」と戸惑う。旧紙幣を用意し、客の依頼があれば新紙幣と交換する。

 もみじまんじゅう製造の紅葉堂(広島県廿日市市)は自社商品を売る自動販売機の更新が間に合わなかった。約30台の一部は新規購入で対応を済ませたが、大半はメーカーへの注文が立て込み、年内を目標に順次更新する。

 影響はコインパーキングにも。広島、岡山県で約100カ所を運営するシステム(広島市中区)は、新紙幣に対応できた精算機が全体の約1割。前田真哉社長は「郊外にある駐車場も多く、千円札が使えないのは死活問題。お客に迷惑をかけたくないが費用もネックだ」と話す。更新が落ち着くのは秋ごろになる。

 キャッシュレス決済が広がる中、現金払いへの対応をためらう傾向も浮かぶ。飲料メーカーの自販機を保守・改修する新日本サービス(広島県安芸高田市)の中野智貴社長は「電子マネーが使える自販機も増えている。硬貨で買う人が多いので新紙幣対応の費用対効果も低く、優先順位が高い場所から順次更新しているのが現状だ」と説明する。