業務改善命令あった日を「点検する日」に、「標準化された資産運用の枠組みを提供したい」…SMBC日興証券・吉岡秀二社長

AI要約

SMBC日興証券の吉岡秀二社長は、金融商品に対する関心の高まりに伴い、株式や投資信託に関するサービスを強化している。

近藤からCEO兼社長としてバトンを受け取った吉岡秀二社長は、過去の不祥事を踏まえて、お客様と従業員の信頼を取り戻すために取り組んでいる。

SMBC日興証券は、資産運用ビジネスの強化に注力し、顧客資産のリスクや変動要因を社員が分析できるシステムを展開している。

 少額の投資が非課税となる新しいNISAが始まり、金融商品に対する関心が高まっている。三井住友フィナンシャルグループのSMBC日興証券は、営業社員が、顧客に合った株式や投資信託を提供できるシステムを強化する。吉岡秀二社長に話を聞いた。(聞き手・桜井詠巳)

 ――4月に最高経営責任者(CEO)兼社長に就任した。

 「前任の近藤からバトンを受け取った。(金融庁から業務改善命令を受けた相場操縦事件のことは)重く受け止めている。お客様に戻ってきていただいて本当にありがたい。お客様と従業員の皆さんに支えられてなんとかこの状況にいたった。安心して取引いただける会社の体制を担保していきたい。

 今回に限らず、過去においても不祥事があった。いろいろなことが起こらないように、原因を分析し、施策を打っていきたい。金融は様々な規制の中で仕事をしている。社会の目からみて、おかしなことにならないようにチェックしていく。

 業務改善命令があった10月7日は、業務に脆弱(ぜいじゃく)性がないかを点検する日と定めた。最も大切なのは、聞く耳を持つことだ。私自身が社員らのロールモデルとなり、近藤が作った再建への道筋を完成させることが使命だと思っている」

 ――資産運用ビジネスを強化している。

 「過去20年をみると、米国では個人の金融資産が3・4倍になった。資産運用の効果だけでも2・6倍。日本は金融資産が1・4倍に対し、資産運用の効果は1・2倍。こうしたことが国の豊かさとして違いを生んでいる。

 米国との違いを埋めるために、日本全体に、標準化された資産運用の枠組みを提供したい。株式や投資信託といった顧客資産のリスクや変動要因について、社員が分析できる弊社のシステムがある。もともとは富裕層を中心にしたサービスだった。この活用対象を現在の約2万口座から、営業担当者がついている約63万口座まで拡大する。

 株式の個別銘柄ごとに、影響を分析することができ、営業担当者は顧客の資産を見た上で、総合的なアドバイスができるようになる。今後は、資産運用をサポートするスマートフォン向けの新しいアプリの導入も目指している。