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「早朝や週末に勉強時間を確保」はやめたほうがいい…日常生活に「滞り」が生じ大損必至のNG時間術
効率的な時間管理をするためには、特定の時間帯に過度な期待を持たないことが重要である。
部分最適と全体最適のバランスが悪いと、計画がうまく進まないことがある。
日常生活を滞りなく進めるためには、時間管理全体のバランスを考えることが必要である。
効率的な時間管理をするにはどうすればいいか。物流エコノミストの鈴木邦成さんは「資格勉強の時間を確保しようと、毎朝5時起きの朝活や週末の時間を有効活用しても思うような成果は上がりづらい。これは物流でいうところの『部分最適』はできていても、『全体最適』が実現されていないという状態である。日常生活を滞りなく進めるにはまずは、『特定の曜日や時間帯に過度な期待を抱かない』ことが重要だ」という――。
※本稿は、鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
■なぜ毎日が忙しく過ごすだけで終わってしまうのか
ビジネスシーンを中心とした日常生活の場合、滞るとどんな影響が出てくるのでしょうか。
30代の女性Aさんを例にとって見ていきましょう。
都内に勤務しているAさんは毎朝5時に起きて、メールをチェックしたり、X(旧ツイッター)でその日の新しいトピックを見たりしながら、リポスト(リツイート)しています。
TOEICの勉強も少ししているので、朝は英語を聞きながらリスニング問題を解くときもあります。
朝の身支度には30分程度みて、7時には家を出るようにしています。
通勤時間は1時間ほどですが、通勤途中は好きな音楽を聴くことにしています。出社すると、すぐに会議があったり、電話がかかってきたり、午前中はかなり慌ただしい感じです。
昼食をとって午後ようやく少し余裕が出てきますが、夕方頃に急ぎの用や翌日の準備などが出てきて、結局、少し残業をしてから帰ることになってしまいます。
帰りもラッシュ時にぶつかることも多く、電車のなかで何か作業をこなすというのも難しいように思えます。結局、毎日、忙しく過ごすだけで終わってしまうのです。
「朝活がよいというのでがんばってみたけど、なかなか成果が上がらない」という嘆きも出てきました。
■時間が確保出来ず、やる気だけが空回りしている
30代後半の男性Bさんの場合、審査をパスするために資格の勉強をしていますが、思うように進みません。
Bさんの会社では課長に昇進する条件として、仕事に関係のある国家資格を取らなければなりません。そのため、社労士を目指しているのですが、勉強時間が十分に確保できないでいました。
毎朝、通勤の際、電車のなかで基本項目に目を通しています。金曜日には気分転換と情報交換を兼ねて、会社の仲間などとの飲み会に参加していますが、土日のどちらかはじっくりと勉強することにしています。
しかし、思うように勉強の効率は上がりません。通勤電車では前日の疲れなども残っているのか、ついつい眠ってしまったり、満員電車のなかで勉強どころではなくなってしまうこともあります。
好きなお酒はどうしても外せないので、唯一、息抜きのできる金曜日に飲みには行くものの、土日のどちらかは子どもと遊んだり、ゴルフなどの接待に出かけたりすることも少なくないので、週末は期待値が高いほどには充実しません。
できれば週末も朝の勉強のゴールデンタイムを活用したいと思ってはいるものの、朝の時間はなかなか確保できません。
2人とも、頭のなかでは朝活を充実させたり、週末の時間を有効活用したりして、効率的な時間管理を目指しています。しかし、理論に実行力がついていきません。結局、やる気だけが空回りしている状態なのです。
■時間管理全体のバランスが悪いと計画は進まない
では、Aさん、Bさんの時間の管理はどの点に問題があるのでしょうか。
2人に共通しているのは「どちらも特定の時間帯への期待値が高すぎる」ということです。
Aさんの場合は朝の時間帯、Bさんの場合は週末にそれぞれ過度の期待を寄せています。そのため朝や週末にイレギュラーな予定が入ると、スケジュール通りに予定が進まなくなってしまうのです。
AさんもBさんも朝活をするとか週末に勉強やゴルフをするなど、その部分ごとの計画、すなわち物流でいうところの「部分最適」が間違っているわけではありません。
しかし、時間管理全体のバランスが悪いため、こちらも物流でいうところの「全体最適」が実現されていないことがネックとなって、計画が進まないのです。
物流でいうところの「部分最適」はできていても、「全体最適」が実現されていないという状態なのです。
部分最適と全体最適については、後ほどあらためて説明しますが、滞りをなくすには全体最適が必要になります。
「その部分だけが最適化される」という部分最適の状態だと、どうしても滞りが発生してしまいます。
したがって、日常生活を滞りなく進めるにはまずは、「特定の曜日や時間帯に過度な期待を抱かない」ことが重要になってくるのです。