伊藤園「お~いお茶」お茶売場で簡便化に舵 インスタント商品は“NINJAアイス”も提案

AI要約

伊藤園は、お茶の売り場での戦略を簡便商品にシフトし、特にインスタント商品に注力している。

インスタント商品は独自技術で香りや溶けやすさを追及し、抹茶入り緑茶などの新製品も展開している。

簡便商品を重視することで新しい顧客を取り込み、業績向上を図っている。

伊藤園「お~いお茶」お茶売場で簡便化に舵 インスタント商品は“NINJAアイス”も提案

 伊藤園は、スーパーなどのお茶の売場で「お~いお茶」の簡便商品に舵を切った。

 茶葉(リーフ)商品の露出を抑えてインスタント商品とティーバッグ商品の比率を上げていく。

 6月29日、「お~いお茶 氷水出し大茶会」の会場で取材に応じた吉田達也マーケティング本部リーフブランドグループブランドマネジャーは「大茶会や茶育では急須で淹れるお茶を含めリーフと簡便商品の二軸で訴求しているが、営業的な施策では完全に簡便商品にシフトしている。昨年から社内ではティーバッグ、インスタントを大きく広げていこうという機運が醸成されている」と語る。

 社内号令は“”簡便7割・棚7段”。

 「リーフのパッケージは高さがあるためどうしても棚が6段になる。リーフよりも低い簡便商品を棚全体の7割を占める程度に増やして棚を7段にして新しいお客様を呼び込んでいきたい」と意欲をのぞかせる。

 簡便商品の中でも注力しているのがインスタント商品。インスタント商品は前期(4月期)に金額ベースで12%増を記録した。

 好調要因は、インスタントの中で差別化された風味・液色と商品名・パッケージデザインの刷新にある。

 「インスタントは抽出したお茶を濃縮・乾燥させているため、かなりの熱が加わる。コーヒーはもともと香りが強いので熱を加えても香りが残るが、お茶のインスタントは香りが飛んでしまうため多くの競合商品には香料が添加されている。当社は香料を一切使用せずに香りを立たせている」と胸を張る。

 主力インスタント商品の「さらさらとける お~いお茶抹茶入り緑茶」では、独自技術で抹茶を加え“冷水に3秒で溶ける”を謳う。

 「溶けやすさも特徴。スプレードライ製法のインスタントを顕微鏡でみると、シャボン玉のような薄い皮膜になっている。単純に抹茶を混ぜると溶けづらく傷みやすくなるが、当社は独自技術で薄い皮膜の中に抹茶を練りこみ、溶けやすく、鮮やかな緑の水色を実現している」と説明する。

 前身の商品名には“とける”の文言が入っていなかった。これを改め、さらにパッケージに暖簾風のアテンションをあしらい“冷水ですぐおいしい”ことを訴求したところ勢いを加速。昨年6月に放映開始した中谷美紀さんを起用したTVCMも販売を後押ししたとみられる。