JAL、空港「チームワーク」実技と知識で競う コンテスト刷新、優勝は熊本とダラス

AI要約

日本航空(JAL/JL、9201)が空港ハンドリングプロフェッショナルコンテストを開催した。新たな総合力を審査し、熊本空港とダラス・フォートワース空港が優勝した。

コンテスト内容は実情に即したものに変更され、総合テストで実務に近い問題が出題された。

ロールプレイでは、チームワークや規程理解を評価し、熊本とダラスが優勝した。

JAL、空港「チームワーク」実技と知識で競う コンテスト刷新、優勝は熊本とダラス

 日本航空(JAL/JL、9201)は6月27日、空港で働くグランドスタッフ(地上旅客係員)の接客技術を競う「空港ハンドリング プロフェッショナルコンテスト」の決勝大会を東京・羽田の訓練施設「第1テクニカルセンター」で開いた。8回目となった今回からは、これまでの空港サービスに主眼を置く個人のスキルから、空港ハンドリングにフォーカスした総合力を審査した。2019年以来4期ぶりの決勝には国内・海外の7空港ずつ計14空港が参加し、国内部門は熊本空港が、海外部門はダラス・フォートワース空港が優勝した。

 2019年に開かれた第7回までは「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」として開催してきたが、コロナ後の再始動となる今回から名称を変更。東京五輪の開催に合わせて導入を進めてきた新型自動チェックイン機や自動手荷物預け機(SBD)など、人的サービスの強化と最新技術の活用で利便性を高める「SMART AIRPORT(スマートエアポート)」の展開が進んだことから、コンテストの内容をより実情に沿ったものに刷新した。

 リニューアル後のコンテストの予選は2023年からスタートし、空港スタッフの総合的な実力が勝ち抜く条件となった。空港での接遇スキル向上に加え、規定や基本手順の理解を深め、バックオフィスで働くスタッフと協働することで、各空港の一体感を高めることに主眼を置いた。これまで実施してきた利用者役の社員を相手にした接客技術のロールプレイ(実技審査)に加え、保安・安全・危険物などの規程類から出題する「総合テスト」も実施。実技と知識の総合点で競った。

◆実務に近い「総合テスト」

 総合テストは国内空港が3人1組、国際空港は2人1組となり、ともに7問ずつ出題。持ち込めるモバイルバッテリーの容量や、マイルサービスの上位会員制度「JALグローバルクラブ(JGC)」の入会条件、羽田発ニューヨーク行きJL5便のファーストクラスで提供するサンドイッチの種類などを出題した。参加者は規程を参照し、検索で解答を導き出すなど、実務に近い方法で解いた。

 ある審査員は出題された問題を自分自身で解きながら審査した。7問中6問正解し、「いい問題。詰め込み型ではなく、自身で解答を見つける実務に近い」と評価した。

◆グラハン連携でカバン回収

 従来のロールプレイは、チェックインカウンターでの接客が主軸だったが、今回は出発ロビーで利用者からさまざまな対応を求められる形式とした。出場者が2人1組となり、規程や手順などを正しく理解できているかや、各空港で接遇スキルを競い合うことでサービス品質を向上させ、自分だけでなく仲間とともに成長して組織力を高めるといった点を重視している。

 国内空港のロールプレイは、出発便が遅れた利用者や、赤ちゃん連れ、他社便の利用者への対応を審査。また、モバイルバッテリーを預け入れた利用者のカバンをグランドハンドリング(グラハン)と連携して回収するなど、地上係員と他職種の連携力を審査した。

 優勝した熊本空港からは、千代丸彩夏さんと内田奈穂さんがロールプレイに参加。星野有香さんはクイズのみ参加し、3人でトップを勝ち取った。

 千代丸さんは「熊本は他部署との距離が近い。緊張したが、日ごろの姿を発揮できた」と振り返った。内田さんは「お客さまに接するいつも通りの姿でできた」ようで、今後は「熊本に持ち帰って、JALのおもてなしを広めていきたい」という。星野さんはロールプレイに出場した2人を「心強い」と評価。クイズを含め「3人で力合わせ、いいチームワークでできた」と話した。

 準優勝は中部空港が獲得した。

◆手荷物ばらまく利用者への対応力

 海外空港のロールプレイは、チェックインを希望する利用者への対応を審査。日本語のみを話す女性客という設定で、預け入れ不可のモバイルのヘアアイロンを預け入れようとする人に、機内持ち込みであればできることを説明した。また、カウンター前で手荷物をばらまいた利用者への対応力も審査した。

 優勝したダラス・フォートワース空港からは、JALのKatsuki Williamsさんと、委託会社のShahana Khanさんが参加。Williamsさんは勝因について「いつも通りのチームワーク」と分析し、「普段からいっしょに働いているチーム。ハンドリングを委託する会社とJALがカバーし合い、助け合うことだけを考えた」という。

 準優勝はパリ空港が獲得した。

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 審査員を務めたJAL空港オペレーション教育訓練部の森智彦部長は、審査の重点ポイントを「チームワーク」とした上で、同時にさまざまなことが起きたときに、利用客が困らないようなお互いの業務をカバーし合う点を評価ポイントとしたと述べた。優勝した熊本とダラスはともにチーム力を発揮していたと評価。「自分の業務をこなしつつ、仲間の業務にも気を配り、困りごとなどを察知して進めていたことが評価につながった」とした。