“911”への情熱が結実! もとロックミュージシャンが手掛けるポルシェ911レストア「シンガービークルデザイン」

AI要約

シンガービークルデザインは、1989年から94年の空冷エンジンの964型911を対象にしたレストアを行い、世界でもっとも人気が高く入手困難な911を生み出している。

シンガーは生産台数を制限し、911のブランド価値を守りながら高価な価格設定を行っており、選ばれたオーダーのみを実現している。

シンガーの創業者であるロブ・ディキンスン氏は、子供の頃に911に魅了され、自動車デザインの道に進むきっかけとなった体験を語っている。

“911”への情熱が結実! もとロックミュージシャンが手掛けるポルシェ911レストア「シンガービークルデザイン」

もとロックミュージシャンが、昔のポルシェ911への熱い思いゆえ始めたレストアが、いまや世界でもっとも人気が高く入手困難な911を生み出すことに。

ロサンジェルスに本拠を置く「シンガービークルデザイン」が、2024年5月に日本上陸を発表して、話題を呼んでいます。ユニークなのは、911のなかでも、1989年から94年にかけて作られた空冷エンジンの964型のみを対象にしているところ。

シンガービークルデザイン(以下・シンガー)は2009年創業。特徴は、生産台数を大きくしぼっていること。24年になってようやく通算300台めの911が完成したほどです。ブランドが陳腐化しないように意図的にオーダーを制限しているのだといいます。

もうひとつの特徴は高価であること。価格だけでいうと、シンガーがレストアした911は、フェラーリよりはるかに高額。モデルによりますが、10倍以上というケースもあるほどです。

「自分がポルシェ911に惹かれたきっかけは、少年時代に家族で出かけた南仏での旅でした」。シンガービークルデザイン(以下・シンガー)の創業者兼エグゼクティブチェアマンである英国のフォーク出身のロブ・ディキンスン氏は、東京・渋谷の発表会会場でそう語ります。

「私たちは父の運転するフォルクスワーゲン・ビートルだったんですが、オートルート(高速道路)で911が走ってきて追い抜いていったんです。そのときのカッコよかったこと。以来、私は911にとりつかれて、学校でも自動車デザインを勉強して、自動車の世界へと進むことを夢見るようになりました」

いっぽうで、ロックミュージシャンも、選択肢の一つだったといいます。シンガー・ソングライターであり、キャサリンホイールというバンド名義でアルバムを発表しています。アイアンメイデンのフロントマン、ブルース・ディキンスンとは父方のいとこの関係です。

「音楽をやっているときも、空冷911のレストアを趣味として続けていました。あるとき、私の手がけた911を見て、自分のクルマも同じようにレストアしてくれないかと言ってきたんです。そのあと、似たような案件がいくつか飛び込んできて、それが15件になったとき、これはひょっとして、と考えるようになりました」

ディキンスン氏は、ビジネスのきっかけを語ってくれました。